問 題
大規模設備のSOx対策に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 重油焚き火力発電所においては、SO3ガス対策として、アンモニア(NH3)ガスを煙道内に注入する方法が用いられる。
- 石炭火力発電所の脱硫装置には、主に安価な炭酸カルシウム(石灰石)を使用する湿式石灰石こう法が一般的である。
- セメント製造プロセスでは、主に活性炭を用いる乾式吸着プロセスが用いられる。
- ゴミ焼却設備では、SOxをアルカリ剤と反応させて除去する。
- 鉄鋼プロセスの焼結炉排ガスの脱硫方式として、近年は活性炭や活性コークスを用いた乾式脱硫法の導入例もある。
正解 (3)
解 説
(1)は正しいです。重油焚き火力発電所では、SO3ガスとアンモニア(NH3)ガスとを反応させることで、硫酸アンモニウムとして固形化させてから集じんする方法が取られています。
(2)も正しいです。石炭火力発電所では、脱硝には「選択的触媒還元法(SCR法)」が、脱硫には「湿式石灰石こう法」が用いられます。どちらも重要事項なので覚えておいてください。
(3)が誤りです。セメント製造工程のひとつである焼成工程は、それ自身が高い脱硫性能を有しています。そのため、通常はセメント工場では排煙脱硫装置が必要ありません。SOx対策自体が必要ないので、(3)の「活性炭を用いる乾式吸着プロセス」も不要です。
(4)は正しいです。ゴミ焼却設備の湿式排ガス処理装置では、水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液が用いられます。これにより、SOxと塩化水素を同時に除去できます。
(5)も正しいです。鉄鋼プロセスの焼結炉排ガスの脱硫方式としては、今までは湿式脱硫法が主流でしたが、近年は活性炭や活性コークスを用いた乾式脱硫法も導入されています。
以上から、正解は(3)となります。
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