R4年 大規模水質特論 問2 問題と解説

 問 題     

海洋生態系モデルにおける各パラメーターの推定及び算定方法に関する記述として、不適切なものはどれか。

  1. クロロフィル-a濃度から植物プランクトン及び動物プランクトンの炭素生物量を推定した。
  2. 飽和酸素量は海洋の水温と塩分から算定した。
  3. 一級河川の日ごとの栄養塩負荷量はL-Q曲線を用いて推定した。
  4. データの少ない中小の河川について、原単位法から求めた年平均流入負荷量と月別降水量のデータから、月別の栄養塩負荷量を推定した。
  5. 海底堆積(たいせき)物からのりん、窒素の負荷量を、溶出量の測定データを基に推定した。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

(1)で、クロロフィルは葉緑素のことであり、光合成の反応に関わる化学物質です。そのため、植物プランクトンはこれを有していますが、動物プランクトンにはクロロフィルが含まれていません。よって、この記述は誤りです。

クロロフィル-aは、閉鎖性水域などの植物プランクトン量の指標として用いられます。

(2)で、飽和酸素量は水温と塩分から計算で求めることができるので、これは正しい記述です。

(3)で、L-Q曲線とは、河川からの流入負荷量Lと河川流量Qとの関係を示す曲線のことです。一般的に、河川から供給されるCODや栄養塩の負荷は、L-Q曲線を用いて推定されます。その近似式とグラフは次のように表すことができます。よって、(3)も正しいです。

(4)で、中小河川で水質と流量の測定値が十分に得られない場合は、L-Q曲線によらず、原単位法により年平均負荷量を求め、流域内の月別降水量のデータにより月別負荷量に分配するなどの方法が利用されます。よって、(4)も正しいです。

(5)で、海底堆積物にりんや窒素が多く含まれていれば、それだけ多くのりんや窒素が水に溶出してきます。そのため、溶出量の測定データを基にして、海底堆積物からりん、窒素の負荷量を推定することが可能です。よって、(5)も正しいです。

以上から、正解は(1)となります。

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