R3年 大気特論 問15 問題と解説

 問 題     

JISの化学発光方式NOx自動計測器において、NOの濃度が実際よりも高く測定される可能性がある場合はどれか。

  1. CO2の共存
  2. 除湿器におけるNOxの溶解損失
  3. コンバーターのNO2-NO変換効率の低下
  4. コンバーターのアンモニア変換効率の上昇
  5. オゾン発生器の性能低下

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

(1)で、化学発光方式では、共存するCO2はクエンチング現象により、測定値に対し負の誤差を与えます。よって、この条件ではNOの濃度が実際よりも低く測定されることになります。

(2)で、除湿器ではガス中に含まれる水分をドレンとして除去します。この際に水分に溶解しているNOxはドレンとして一緒に除去されるので、ガスに含まれていたNOxが少し減ることになります。よって、これもNOの濃度が実際よりも低く測定される原因となります。

(3)で、化学発光方式では、「不安定な励起状態にあるNO2*」が「安定な基底状態のNO2」に移る際に発する光を測定します。そして、その励起状態のNO2*はNOとO3(オゾン)との反応によって生成します。

よって、NO2から直接NO2*を作ることはできないので、この反応の前処理としてNO2をNOに還元しておく必要があります。これがコンバーターの役割です。

(3)のようにコンバーターのNO2-NO変換効率が低下すると、その分生成するNOが少なくなってしまうので、これもNOの濃度が実際よりも低く測定される原因となります。

(4)で、コンバータは(3)の解説の通り、NO2をNOに変換することを目的としています。しかし、コンバータの温度は高いので、アンモニア(NH3)が存在すると空気中の酸素と反応してNOが生成します。

よって、この場合は本来カウントされない分のNOを測定することになるため、実際よりも高く測定される可能性があります。

(5)で、(3)の解説の通り、励起状態のNO2*はNOとO3(オゾン)との反応によって生成します。オゾン発生器の性能低下によってNO2*が生成されにくくなると、最終的にNOの濃度が実際よりも低く測定されることになります。

以上から、正解は(4)です。

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