問 題
高速液体クロマトグラフ法に関する記述として、正しいものはどれか。
- ポリ塩化ビフェニル(PCB)の検定に用いられる。
- 一般的に、内径0.1~1.2mm、長さ5~100mのキャピラリーカラムが用いられる。
- 一般的に、ガスクロマトグラフに比べ、シグナルピークが鋭く分離能が高い。
- ガスクロマトグラフでは測定困難な熱的に不安定な化合物の測定にも適用できる。
- クロマトグラムの保持時間から定量分析を行う。
解 説
(1)で、公害防止管理者試験での出題範囲においては、高速液体クロマトグラフ法で測定できる物質はチウラムのみで、逆に、チウラムを測定できる分析方法は高速液体クロマトグラフ法のみです。そのため、チウラムと高速液体クロマトグラフ法とは完全に結びつけて覚えておくと便利です。
よって、(1)はPCBとあるのでこれは誤りです。
ちなみに、ポリ塩化ビフェニル(PCB)の検定方法として定められているのは、以下の2つです。
- ガスクロマトグラフ法
- ガスクロマトグラフ質量分析法
(2)で、キャピラリーカラムを使うのはガスクロマトグラフの特徴です。ガスクロマトグラフのカラムには充塡カラムまたはキャピラリーカラムを用いますが、高速液体クロマトグラフでは充塡カラムのみを用いるため、(2)も誤りです。
(3)で、その名称からもわかるように、高速液体クロマトグラフ法は移動相が液体であり、ガスクロマトグラフ法は移動相が気体です。試料についても同様で、高速液体クロマトグラフ法は液体のまま流しますが、ガスクロマトグラフ法のときは気化させてからカラムに流します。
ここで、液体と気体を比べると気体のほうが拡散速度が速いため、ガスクロマトグラフ法のほうが試料の各成分が分離しやすい(=分離能が高い)です。
よって、(3)の記述は反対なので、誤りです。
(4)に関して、一般的にはガスクロマトグラフ法は優秀な測定方法ですが、(3)の解説の通り試料を気化させてからカラムに導入するので、熱的に不安定な化合物は測定できないという弱点があります。
一方、高速液体クロマトグラフ法は試料を熱したりしないので、チウラムのような熱的に不安定な化合物でも測定することができます。
よって、(4)の記述は正しいです。
(5)で、時間だけでは対象物質があることはわかっても、それがどのくらい含まれているのかは判別できません。よって、保持時間から行えるのは「定量分析」ではなく「定性分析」です。
クロマトグラムの保持時間から定性分析を、ピークの高さまたは面積から定量分析を行います。
よって、(5)は誤りです。
以上から、正解は(4)となります。
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