問 題
重金属排水のフェライト処理技術に関する記述として、誤っているものはどれか。
- フェライトは鉄を主成分とする固溶体の総称で、スピネル形結晶を持つ磁性体結晶をマグネタイトという。
- 鉄(Ⅱ)イオンを含む溶液にアルカリを加えて加熱するとマグネタイトが生成する。
- 重金属はフェライトの結晶構造に取り込まれるが、溶出しやすい欠点がある。
- フェライト処理は、各種重金属の一括処理が可能である。
- EDTAや有機酸のようなキレート剤が共存する場合は、前処理として酸化分解処理が必要である。
正解 (3)
解 説
フェライトとは、酸化鉄(Ⅲ)を主成分としたセラミックスのことです。これを加えると、フェライト結晶中に金属を封じ込めてそのまま沈殿するので、金属除去には有用です。
(1)は正しいです。スピネル形結晶というのはマイナーな知識なので気にしなくていいですが、磁気で分離除去するという特徴はたまに出題されるので、覚えておくとよいと思います。
(2)も正しいです。この特徴は頻出なので、そのまま覚えておいてください。過去問では、「鉄(Ⅱ)イオン」や「アルカリ」の部分が「鉄(Ⅲ)イオン」や「酸」に変えられて、誤った選択肢として出題されたことがあります。
(3)が誤りの選択肢です。フェライト法では重金属をきちんと封じ込めて沈殿させることができるため、(3)の記述のような欠点はありません。
しいてフェライト法の欠点を挙げるなら、フェライト自体が沈殿物(汚泥)となる上に結構かさばるため、この方法で処理すると汚泥発生量が多くなります。
(4)は正しいです。フェライト法は多くの重金属類を対象とし、各種重金属の一括処理が可能です。
(5)も正しいです。EDTAや有機酸のようなキレート剤があると、フェライトとキレート剤が反応してしまい、重金属類を取り込めなくなります。よって、前処理によってキレート剤を酸化分解処理しておく必要があります。
以上から、正解は(3)です。
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