問 題
金属の生体影響に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 重金属に暴露されると生合成されるメタロチオネインは、重金属の毒性を弱める働きをしている。
- 有害性金属が複合して生体内に作用する場合、それぞれの毒性が相加的、あるいは相乗的に現れることがあるが、逆に毒性が弱められることもある。
- 有機水銀は塩化水銀(Ⅱ)に比べて生物学的半減期が長いため、排泄されにくい。
- 無機水銀は血液-脳関門を容易に通過し、脳内に蓄積する。
- 総金属暴露量が同一量であっても、一時に多量暴露した場合と、少量ずつ長期間の暴露の場合とでは毒性の程度は異なる。
正解 (4)
解 説
(4)に関して、水銀の生体影響といえば、四大公害病の水俣病や新潟水俣病を思い出してほしいです。しかし、水俣病・新潟水俣病の原因物質は「無機水銀」ではなく「有機水銀(メチル水銀)」です。
有機水銀は無機水銀よりも毒性が強いのです。その理由は、有機水銀が血液-脳関門を通過しやすく、体内から脳内に移行して脳へダメージを与えることが一因です。また、(3)にあるように生物学的半減期が長いため、なかなか体外へ排出されないのも問題です。
よって、(4)の「無機水銀」が誤りで、これを「有機水銀」や「メチル水銀」に直すと正しい文章になります。
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