R3年 汚水処理特論 問10 問題と解説

 問 題     

活性汚泥法より発生する汚泥の脱水に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. ろ過脱水において、活性汚泥などのケーキは圧縮性があるので、ろ過圧力を上げればそれに比例してろ過速度も大きくなる。
  2. 凝集剤としては、ポリ塩化アルミニウムや硫酸アルミニウムがよく用いられる。
  3. ベルトプレスは、目の粗いベルト状のろ布の上で重力によって自然脱水して脱水ケーキを得るものである。
  4. スクリュープレスは、スクリューの回転によって汚泥をスクリュー軸に沿って次第に挟隙部へ送り込み、発生する圧搾圧力によって圧縮脱水するものである。
  5. 遠心脱水機は、回転体の中に、回転体と同じ回転速度で回るスクリューを内蔵して、ケーキを機外に排出する。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

(1)の前半部分は正しく、活性汚泥などのケーキには圧縮性があります。そのため、ろ過圧力を上げてもケーキが水分を取り込んだまま圧縮され、あまりろ過速度が改善できません。よって、(1)の後半の文章が誤りです。

(2)で、汚泥の脱水の前処理において凝集剤を添加するときは、塩化鉄(Ⅲ)、水酸化カルシウムなどの無機凝集剤や高分子凝集剤が多く用いられます。よって、(2)も誤りです。

(3)で、ベルトプレスでは、目の粗いベルト状のろ布の上で、ある程度自然脱水(重力による予備濃縮)して汚泥の流動性をなくしてから、ろ布の間に挟み、ロールを介して圧搾して脱水します。(3)の説明文では名前に反してプレスする工程が書かれていないので、(3)も誤りです。

(4)の説明文はスクリュープレスのことを端的に表しているので、(4)が正しい文章です。

(5)で、遠心脱水では、高速回転による遠心力を利用して汚泥の脱水を行います。遠心脱水機の回転体の中にはスクリューが内蔵されていて、脱水したケーキを機外に排出する構造となっています。

(5)には「回転体と同じ回転速度で回るスクリュー」と書かれていますが、これではかなりの遠心力が働いて、汚泥がいつまでも機内の壁に張り付いて出ていきません。もし機外に排出できたとしても、すごい勢いで飛び散っていきそうです。

実際には、回転体とスクリューには回転差があるので、回転体によって水分を飛ばし、スクリューによって汚泥を機外に排出することができます。よって、(5)の文章は誤りです。

以上から、正解は(4)となります。

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