R3年 公害総論 問15 問題と解説

 問 題     

ライフサイクルアセスメント(LCA)とその実施手順に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. LCAとは、製品システムのライフサイクル全体を通したインプット、アウトプット及び潜在的な環境影響のまとめ並びに評価のことである。
  2. LCAを実施する目的と範囲の設定が、LCAの第一ステップである。
  3. 第二ステップのインベントリ分析で用いられるインプットデータは、生産又は排出される製品・排出物に関するものである。
  4. 第三ステップでは、地球温暖化や資源消費などの各カテゴリーへの影響を定量的に評価する。
  5. 第四ステップでは、設定した目的に照らし、インベントリ分析やライフサイクル影響評価の結果を単独に又は総合して評価、解釈する。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

LCAとは、その製品に関わる資源の採取から製造、使用、廃棄、輸送などすべての段階を通して、投入資源(インプット)あるいは排出環境負荷(アウトプット)及びそれらによる地球や生態系への環境影響を定量的、客観的に評価する手法のことです。

よって、(1)の記述は正しいと判断できます。

また、LCAの実施手順として、四つのステップがISO規格で標準化されています。四つのステップの概要を以下に示します。

  1. 目的及び調査範囲の設定の段階
  2. インベントリ分析の段階
  3. 影響評価の段階
  4. 解釈の段階

このうち第一、第三、第四ステップは、それぞれ選択肢(2)、(4)、(5)の通りです。

また、第二ステップのインベントリ分析では、対象となる製品に関わるインプット及びアウトプットのデータを収集し明細表を作成します。

ここで(3)を見ると、「インプットデータは、生産又は排出される製品・排出物に関するもの」とありますが、インプットは「投入される資源やエネルギー」のことで、アウトプットが「生産又は排出される製品・排出物」のことを指します。

よって、(3)の記述が誤りであり、文中の「インプットデータ」を「アウトプットデータ」に直すか、「生産又は排出される製品・排出物」を「投入される資源やエネルギー」に直せば正しい文章となります。

以上から、正解は(3)です。

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