R3年 大規模水質特論 問7 問題と解説

 問 題     

鉄鋼業からの排水処理に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. コークス製造業に対するCODに係る総量規制基準のC値は、第1次に比べて第8次では値が小さくなっている。
  2. コークス製造業に対するCODに係る総量規制基準のC値は、第1次から第8次までを通して、電気炉による製鋼・製鋼圧延業に対する値よりも小さい。
  3. 製鉄所からの排水は、圧延加工、めっき及び化成処理などからの工程排水、排ガス洗浄及び湿式集じん機などからの汚濁排水、炉体及びロールなどの間接冷却からの排水からなる。
  4. 廃安水の主な汚染物質は、フェノール、アンモニア、シアン、コークス粉である。
  5. 製鉄所では水使用の合理化が進んでおり、これまでに、用水循環率が90%を超える報告例もある。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

この問題は知識問題として考えるとかなり難易度が高く感じてしまいますが、実際には具体的な知識がなくても、考えて得点できる問題となっています。以下で、選択肢の文章を一つずつ検討していきます。

(1)で、C値とは、総量規制基準の計算の元になる基準濃度のことです。このC値は5年ごとに見直されます。最初に始めてから5年間が第1次、次の5年が第2次…といった感じで続きます。

詳しい知識がなかったとしても、C値は直前の文章から「CODに係る総量規制基準」に関するものであることがわかり、第1次や第8次が時間軸であると考えることができれば、排水中のCODは技術の進歩とともに低減できているので、規制基準は年々厳しくなっていくはずだと推測できます。

よって、C値は第1次に比べて第8次では値が小さくなっていることになるので、(1)の文章は正しいと考えることができます。

(2)で、コークス製造業は石炭を多く使うので、CODが高いと推測できます。一方、製鋼・製鋼圧延業は主に鉄を使います。銑鉄には炭素分も含まれますが、コークス製造業ほどのCODになるとは考えにくいです。

よって、現実としてコークス製造業のほうがCODが高いのであれば、C値も高く設定しなければいけないはずなので、(2)の記述は反対であり、これが正解の選択肢となります。

(3)に関しては、特に矛盾点もなく、正しい文章です。

(4)も正しいですが、これは重要事項として覚えておいてください。安水とは、コークス炉ガスに水を噴霧して冷却する際に発生する凝縮水のことで、フェノール、アンモニア、シアン、コークス粉などが含まれます。

安水の処理については頻出問題なので、R1年 大規模水質特論 問7を参照して、ぜひ頭に入れておいてほしいです。

(5)も記述の通りです。あまり頻出ではありませんが、製鉄所排水の循環率が高いという特徴は、たまに出題される文章です。

以上から、正解は(2)となります。

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