R2年 水質有害物質特論 問13 問題と解説

 問 題     

ICP質量分析法に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. ICPは、分析対象元素などをイオン化する働きをする。
  2. 質量分析計は、質量数/電荷数の比に応じて、イオンを分離し、測定する働きをする。
  3. インターフェース部は、大気圧下のICPと高真空状態の質量分析計を結合する働きをする。
  4. 総水銀、アルキル水銀化合物の検定に用いられる。
  5. ひ素の測定においては、塩酸、塩化物イオンを多量に含む試料では、これらに起因するスペクトル干渉を補正又は低減化する手法を用いる。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

(4)に関して、ICP質量分析法は様々な元素の測定に使える有用な分析法ですが、水銀の測定には不向きです。

というのも、ICP質量分析法は(1)や(2)に書かれているように、分析対象元素などをイオン化してその質量を測定する仕組みです。

しかし、水銀はそもそもイオン化しづらいという特徴があり、全量をイオン化させるのが難しいです。さらに、揮発性が高いためにイオン化させたり分析したりする間に揮発してしまうので、そのロスも小さくありません。

このようにICP質量分析法では水銀(総水銀・アルキル水銀ともに)を正しく測定できないため、検定方法として認められていません。

よって、(4)の記述が誤りで、これが正解となります。

ちなみに、水銀の検定方法として定められているのは、以下の通りです。

総水銀の検定方法

  • 還元気化原子吸光法
  • 加熱気化原子吸光法
  • 加熱気化-金アマルガム捕集原子吸光法

アルキル水銀の検定方法

  • ガスクロマトグラフ法
  • 薄層クロマトグラフ分離-原子吸光分析法

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