R2年 水質有害物質特論 問11 問題と解説

 問 題     

ガスクロマトグラフの検出器に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 熱伝導度検出器は、いろいろな気体の検出に利用できるが、感度はあまり高くない。
  2. 電子捕獲検出器は、有機ハロゲン化合物の高感度分析に有効である。
  3. 炎光光度検出器は、含硫黄化合物及び含りん化合物を選択的、高感度に検出する。
  4. 熱イオン化検出器は、含窒素有機化合物及び含りん有機化合物を選択的、高感度に検出する。
  5. 水素炎イオン化検出器は、無機ガスに対して熱伝導度検出器の1000~10000倍の高感度を示す。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

ガスクロマトグラフに関して、覚えておきたい検出器と検出できる対象物質は、以下の5種類です。今回の同じようなテーマの出題は頻出なので、できるだけ覚えておくと便利です。

  • 熱伝導度検出器(TCD):大体何でも検出可能(ただし、感度はほかの検出器よりも低め)
  • 水素炎イオン化検出器(FID):普通の(塩素を含まない)有機化合物(例:ベンゼン)
  • 電子捕獲検出器(ECD):アルキル水銀、塩素化炭化水素(塩素以外のハロゲンでも可)
  • 炎光光度検出器(FPD):硫黄化合物、りん化合物
  • 熱イオン化検出器(TID):窒素化合物、りん化合物

上記と選択肢を見比べると、(1)~(4)の記述は正しいことがわかります。

残る(5)に関して、水素炎イオン化検出器(FID)は有機化合物を検出できますが、無機化合物の検出には不向きです。一方、熱伝導度検出器(TCD)であれば、感度は低いものの無機化合物を含む多くの化合物を検出することができます。

よって、「1000~10000倍」という数値はともかく、熱伝導度検出器(TCD)のほうが水素炎イオン化検出器(FID)よりも無機ガスを検出しやすいため、(5)の記述が誤りであると判断できます。

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