問 題
活性汚泥処理装置の維持管理に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 曝気槽内のpHが中性付近になるように、事前に中和槽又は曝気槽内で中和する。
- 排水中に窒素やりんなどの栄養塩類が不足している場合は、質量比で、BOD:N:P=100:5:1程度になるように栄養塩類を添加する。
- 流入負荷の変動を見込みつつ、曝気槽内の溶存酸素濃度は1mg/L程度以上になるように管理する。
- 曝気槽内の溶存酸素濃度が急上昇した場合は、微生物活動が低下した可能性があり、pHの異常、毒性物質の流入、返送汚泥の停止などの原因が考えられる。
- 処理対象となる有機物が、高濃度になると微生物に対して毒性を持つ場合は、貯留槽より少量ずつ注入し、かつ押し出し流れ方式にする。
解 説
この問題の正解は(5)ですが、押し出し流れ方式は出題頻度から見てマイナーな知識であるので、カバーできていなくても仕方ないと思います。だからといって完全に捨て問題というわけではなく、(1)、(2)、(4)はどれも押さえておきたい基本事項や重要事項なので、(3)と(5)の2択までは絞りたい問題です。
また、(3)の記述もややマイナーながらたまに出題される内容なので、余裕があれば覚えておいてください。
よって、残る(5)が正解です。参考までに以下に解説を示しますが、上記の通りマイナーな知識なので、無理に理解する必要はないと思います。
標準活性汚泥法は主に次の2つに分類されます。
- 押し出し流れ法
- ステップエアレーション法
両者の大きな違いは、排水を曝気槽へ流入させる際、曝気槽のどこに水を送るのかが異なる点です。
押し出し流れ法だと、曝気槽の一端(上流側)から排水を導入し、反対側の端っこ(下流側)から排出させます。水は入口から出口まで一定方向に流れるので「押し出し流れ法」と呼ばれています。
曝気槽内では有害物質が徐々に処理されていくので、有害物質濃度は上流側で高く、下流に向かうにつれ低くなっていきます。
一方、ステップエアレーション法の場合、前段から流れてくる水を曝気槽のあちこちから導入します。これにより、曝気槽内の水質はおおよそ一定になります。
以上を踏まえて選択肢(5)の内容を確認します。
処理対象となる有機物が、高濃度になると微生物に対して毒性を持つ場合は、高濃度にしないことが重要です。よって、記述中の「貯留槽より少量ずつ注入し」という部分は正しい対策であると判断できます。
しかし、そのあとの「押し出し流れ方式」が誤りです。押し出し流れ方式にすると上記の通り、上流側は濃度が濃くなってしまうので都合が悪いです。これを「ステップエアレーション法」にすれば、有害物質は曝気槽全体に広がるので、極端に濃い濃度のところは発生しにくいです。
よって、(5)の「押し出し流れ方式」が誤りの記述で、正しくは「ステップエアレーション法」となります。
以上から、正解は(5)です。
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