R2年 ばいじん・粉じん特論 問13 問題と解説

 問 題     

ダスト濃度測定における吸引速度に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 非等速吸引によるダスト濃度の測定誤差を推定する式として、デービスの式がある。
  2. ガスの粘度が大きいほど、非等速吸引時のダスト濃度の測定誤差は大きくなる。
  3. ダストの粒子径が大きいほど、非等速吸引時のダスト濃度の測定誤差は大きくなる。
  4. ダストの密度が大きいほど、非等速吸引時のダスト濃度の測定誤差は大きくなる。
  5. 吸引速度が排ガスの流速よりも小さいと、測定ダスト濃度は真の濃度よりも大きくなる。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

(2)に関して、ガスの粘度が大きいほど、非等速吸引時の測定誤差は小さくなります。

ガス中のダストには一定の慣性が働くため、排ガスの流速と吸引速度が異なる場合には、ダストがきちんと吸引されないことがあります。

もし排ガスがさらさらしていたら(=粘度が小さければ)、ガスはガス、ダストはダストと独立した挙動となり、ダストは慣性力によって本来以上の吸引をされたり、または吸引を逃れたりしてしまいます。

しかし、もし排ガスがどろどろだったら(=粘度が大きければ)、どろどろのガスがダストとくっつき合って、一緒に動くようになります。そうすると、ガスとダストが一緒に吸引されるので、真のダスト濃度に近い測定結果が得られることになります。

よって、(2)の記述は反対であるので、これが正解となります。

また、上記のように感覚的なアプローチではなく、しっかり理屈から判断したいという方は、以下の解説を参照してください。ただし、この試験の対策としては上記のような考え方をできれば十分だと、個人的には思っています。

選択肢(1)にある通り、非等速吸引によるダスト濃度の計測誤差は、デービスの式から求められます(あくまで推定式ですが)。デービスの式は以下の通りです。

  • Cn:ダスト濃度(非等速吸引)
  • C:ダスト濃度(等速吸引)
  • v:測定点のガス流速
  • vn:吸引ノズルのガス流速
  • Stk:ストークス数

式中にある「Stk」とは、ストークス数のことで、これは以下の式から求められます。

  • Stk:ストークス数
  • dp:ダストの粒子径
  • ρp:ダストの密度
  • v:速度
  • μ:ガスの粘度
  • d:吸引ノズルの内径

これらを見ていくと選択肢(2)~(5)の中で唯一(2)だけが逆の記述であることがわかります。よって、数式から考えても(2)が誤りの記述であり、これが正解と判断できます。

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