R1年 大気概論 問3 問題と解説

 問 題     

大気汚染防止法に規定する改善命令等に関する記述中、(ア)~(エ)の中に挿入すべき語句の組合せとして、正しいものはどれか。

都道府県知事は、ばい煙排出者が、そのばい煙量又はばい煙濃度が( ア )において( イ )に適合しないばい煙を継続して排出するおそれがあると認めるときは、その者に対し、( ウ )当該ばい煙発生施設の構造若しくは使用の方法若しくは当該ばい煙発生施設に係るばい煙の処理の方法の改善を命じ、又は当該ばい煙発生施設の使用の( エ )を命ずることができる。

  •  ア     イ      ウ      エ
  1. 排出口   排出基準  直ちに     一時停止
  2. 排出口   排出基準  期限を定めて  一時停止
  3. 排出口   環境基準  期限を定めて  停止
  4. 敷地境界  環境基準  期限を定めて  停止
  5. 敷地境界  環境基準  直ちに     停止

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

(ア)について、ばい煙の排出基準の適用となるのは「排出口」です。ほかの選択肢には「敷地境界」とありますが、もし工場の煙突から高濃度の有害ガスが排出されたとしても、その有害ガスは煙突の高さから地上に降りてくる間に、風に乗って遠くまで流れてしまいます。

よって、煙突のふもとに近い敷地境界では、ばい煙が汚染されているかどうか判断できないので、(ア)は「排出口」とするのが適切です。

(イ)の選択肢にある「環境基準」と「排出基準」の違いは重要なので、きちんと理解しておきたいところです。

環境基準は「維持されることが望ましい基準」で、行政上の政策目標という位置づけです。これはあくまでも政府が目標として掲げている数値であり、個々の工場などが守らなければいけない規制基準ではありません。

一方、排出基準は個々の工場などが遵守することを求められる規制基準です。これを逸脱するようなガスを排出した場合には、罰則が適用されることもあります。

よって、(イ)には「排出基準」が入ります。

(ウ)について、基準に適合しないばい煙を出すおそれがあれば改善する必要がありますが、施設の構造や処理の方法というのは即時変更できるものでもありません。よって、(ウ)に「直ちに」を入れるのは現実的にはなく、実際には「期限を定めて」となっています。

(エ)に関して、基準に適合しないばい煙というのが大した逸脱ではない場合なら、一定の期限までに改善できる見通しが立てば、工場を稼働させながら改善に取り組むことを許されることもあります。

しかし基準を大きく逸脱している場合には、そのまま稼働させておくと深刻な影響(公害)が出かねないので、一旦工場を止めて、その上で改善を施すことが求められます。

ここで、選択肢には「停止」と「一時停止」がありますが、停止というのはその施設の操業をやめてしまうことです。廃止といったほうがイメージしやすいかもしれません。一方、一時停止はあくまで一時的な停止で、また操業を再開することができます。

今回の場合には、改善によって排出基準を遵守できればまた再開することが可能なので、(エ)に入れるのは「一時停止」が適切です。

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