問 題
測定項目と保存条件の組合せとして、正しいものはどれか。
- (測定項目) (保存条件)
- クロム(Ⅵ)化合物 そのままの状態で0~10℃の暗所
- シアン化合物 塩酸を加えてpH4以下
- カドミウム化合物 NaOHを加えてpH10以上
- PCB プラスチック容器で常温暗所
- 有機りん農薬 NaOHを加えて弱アルカリ性
正解 (1)
解 説
(1)の組合せが正しいので、これが正解です。クロム(Ⅵ)の保存条件は、「そのままの状態で0~10℃の暗所」となります。
全クロムの測定であれば、カドミウムやほかの多くの重金属と同じように硝酸でpHを1にすればいいのですが、試料中にクロム(Ⅲ)を含んでいる場合、硝酸によってクロム(Ⅵ)に酸化されるため、硝酸を入れた時点でもとのクロムの価数は関係なくなってしまいます。
そのため、クロム(Ⅵ)のみについて知りたいときは、酸の類を添加してはいけません。そのままの状態で0~10℃の暗所保存とします。
(2)に関して、試料中のシアン化合物は変化しやすいので、試料採取後、直ちに試験するのが基本です。もし保存する場合は、水酸化ナトリウム溶液を加えてpHを約12にして保存します。
ただし、残留塩素など酸化性物質が共存する場合は、L-アスコルビン酸を加えて還元した後、pHを約12とします。これは、酸化性物質によってシアン化物イオンがシアン酸イオンとなり測定誤差が生じるのを防ぐためです。
(3)で、カドミウムの保存方法は、「硝酸を添加してpH値を約1に」です。カドミウム以外でも多くの重金属が硝酸でpHを1にしますが、(1)にあるクロム(Ⅵ)は例外です。
(4)のPCBの保存方法は、「ガラス容器で0~10℃の暗所」です。プラスチック容器を用いると容器の壁に付着したり吸着したりする恐れがあるので使えません。
(5)で、有機りん化合物は酸に比較的強い(安定している)ため、保存方法は「塩酸で弱酸性」とします。水酸化ナトリウムなどアルカリ性のものを使うと、反応して有機りんが分解されてしまうのでNGです。
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