R1年 汚水処理特論 問3 問題と解説

 問 題     

工場排水の処理において、清澄ろ過が採用されている理由として、誤っているものはどれか。

  1. 清澄ろ過は、多様な工場排水に対して、沈殿、凝集沈殿、活性汚泥法などによる処理を経ることなく、1段で溶存物質の除去を完了できるため。
  2. 活性汚泥法や凝集沈殿法では、沈降分離における懸濁物質の除去が不完全なため。
  3. 清澄ろ過の目的は懸濁物質(SS)の除去であるが、SSはBOD、COD、有害物質でもあることが多く、SSの除去はこれらの削減にもなるため。
  4. 活性炭吸着、イオン交換、逆浸透などの高度処理が必要な場合、これらに導入する排水は清澄であることが必要で、清澄ろ過がこの目的に利用できるため。
  5. 工場内で水の循環再利用を進める際、清澄ろ過は化学的性質を変えずにSSの除去ができ、処理法として適する場合があるため。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

(2)、(3)、(5)に書かれているように、清澄ろ過は懸濁物質(SS)の除去のために行うものです。水に溶けない粒子を除去するのが主な目的なので、反対に(1)に書かれているような「溶存物質」を直接処理するのには向いていません。よって、(1)が誤りの文章です。

実際に工場排水を処理しようとするなら、清澄ろ過だけで1段処理することはあまりありません。沈殿、凝集沈殿、活性汚泥法などによる処理で溶存物質を懸濁物質(SS)に変えて沈殿分離させ、その後段で、仕上げとして清澄ろ過を行うのが効果的です。

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