R1年 公害総論 問11 問題と解説

 問 題     

水質環境保全に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 水生生物の保全を目的に、全亜鉛、ノニルフェノール、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩、底層溶存酸素量について環境基準が定められている。
  2. ノニルフェノールについては、国により排水基準が定められている。
  3. 1,4‒ジオキサンについては、国により公共用水域と地下水の環境基準が定められている。
  4. 1,4‒ジオキサンについては、国により排水基準が定められている。
  5. 亜鉛の国による排水基準は、対応することが著しく困難な特定事業場を除き、5mg/Lから2mg/Lに強化されている。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

ノニルフェノールは(1)の記述の通り、水生生物の保全を目的として環境基準が定められています。これは平成24年に追加された項目です。一方で、(2)に書かれているような排水基準は設けられていません。よって、(2)が誤りの文章で、正解の選択肢となります。

環境基準と排水基準の違いは明確に理解しておきたいところです。

環境基準は「維持されることが望ましい基準」で、行政上の政策目標という位置づけです。これはあくまでも政府が目標として掲げている数値であり、個々の工場などが守らなければいけない規制基準ではありません。

一方、排水基準は個々の工場などが遵守することを求められる規制基準です。これを逸脱するような排水を流した場合には、罰則が適用されることもあります。

今回問題になっているノニルフェノールは、水生生物に悪影響があるので環境基準が設定されていますが、今現在そこまで深刻な状態でもないので排水基準までは設けられていません。

ただし、排水基準を定めるべきでは…という議論もあるようなので、今後、排水基準が設定される可能性はあります。

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