R1年 大規模大気特論 問8 問題と解説

 問 題     

セメント産業の大気汚染防止対策に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. セメント工場内の粉じん対策としてバグフィルターは用いられない。
  2. 電気集じん装置における集じん効率は、セメント原料ダストの電気抵抗率によらず一定である。
  3. 二酸化硫黄はセメント原料と反応するため、セメント焼成炉には二酸化硫黄排出に関する規制がない。
  4. セメントキルン排ガス中のNOxを抑制するため、燃焼管理が行われている。
  5. 廃プラスチックはダイオキシン発生の原因となるため、セメント製造の熱エネルギー源として使用されない。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

(1)に関して、セメントの原料は石灰石類などです。これらを粉砕して使うので、相当な粉じんが発生します。よって、粉じん対策としてバグフィルターは必須だといえます。つまり、(1)は誤りの記述です。

(2)で、電気集じん装置というくらいなので、ダストの電気抵抗率は集じんのしやすさに大きな影響を与えます。よって、これも誤りの記述です。

(3)について、セメント焼成炉にもほかの多くの工場と同じように二酸化硫黄排出に関する規制はあります。よって、(3)も誤りの記述です。

ただし、セメント焼成炉では、プレヒーター(予熱装置)部においてセメントに含まれる石灰石(CaCO3)とSO2とが次の反応を起こすので、これによって脱硫されます。

よって、セメント工場では、焼成工程そのものが高い脱硫性能を有しているので、排煙脱硫装置が必要ありません。

つまり、(3)の記述は「二酸化硫黄排出に関する規制がない」のではなく、「排煙脱硫装置が必要ない」といった感じになります。規制はあるけれど、あまり心配する必要はないということです。

(4)は正しい記述なので、これが正解です。脱硫には気を遣わなくてよいのですが、脱硝はしっかりと行わなければなりません。

(5)に関して、廃プラスチックがダイオキシン発生の原因となるのは、これを300~500℃程度の比較的低温で燃やした場合です。800℃以上の高温で燃やす場合には、ダイオキシンはほとんど発生しません(発生してもすぐ分解されます)。

セメント製造では1000℃以上の温度で熱するため、ダイオキシンが問題になることはほとんどありません。よって、廃プラスチックもセメントの原料にできるので、(5)は誤りです。

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