H30年 大気有害物質特論 問3 問題と解説

ガス吸収装置に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 溶解度が大きなガスではガス側の抵抗支配となるので、ガス分散形を選ぶ。
  2. 液分散形では、有効接触面積を大きくするために、液を小滴にする。
  3. ガス分散形では、気泡を乱流状態にするように工夫する。
  4. 吸収装置の形式や材料の選定に際しては、ガスや液の腐食性、吸収液の発泡性を考慮する。
  5. 装置の閉塞が起こりにくく、維持管理が容易なことが必要である。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

気体が液体に充分に溶けやすい(溶解度が大きい)とき、液体側はいくらでも気体を受け入れられる状態にあるため、気体の液体への吸収速度は気体側に依存することになります。これをガス側の抵抗支配といいます。

この場合、ガス側の抵抗を下げることで効率的なガス吸収が可能となります。そのためには液を細かく分散させてガスと接触させればよいので、ガス側の抵抗支配のときには、液分散形のガス吸収装置を選択します。

一方、液体に溶けにくい(溶解度が小さい)ような気体を溶かす際は、液体側に現状溶け込んでいる濃度が問題となってくるため、その吸収速度は液体側に依存します。これを液側の抵抗支配といいます。

この場合、液側の抵抗を下げることが効率的なガス吸収につながります。そのためには、ガスを細かく分散させた上で液の中を通せばよいので、液側の抵抗支配のときには、ガス分散形のガス吸収装置を選択します。

以上をまとめると、ガス吸収装置の選び方は次のようになります。

  • ガス側の抵抗支配なら、液分散形を選ぶ。
  • 液側の抵抗支配なら、ガス分散形を選ぶ。

よって、(1)の「ガス分散形」が誤りで、正しくは「液分散形」となります。

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