H30年 水質概論 問5 問題と解説

わが国の公害・環境問題が顕在化した年代を左から古い順に並べた場合、正しいものはどれか。

  1. PCBによる環境汚染
  2. 足尾銅山鉱毒被害
  3. 水俣病
  4. トリクロロエチレンによる地下水汚染
  5. ダイオキシン類による環境汚染
  1. ア-イ-ウ-エ-オ
  2. イ-ア-ウ-オ-エ
  3. イ-ウ-ア-エ-オ
  4. ウ-イ-ア-オ-エ
  5. ウ-ア-イ-オ-エ

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

ア~オの公害・環境問題はどれも有名なものなので、詳細な年代はともかく、大まかな時系列は把握しておきたいところです。この中では、特にイ、ウ、オは必ず押さえてほしい公害・環境問題です。

まず、イの「足尾銅山鉱毒被害」は明治時代までさかのぼりますが、これが日本で最初の公害といわれています。よって、この時点で選択肢は(2)と(3)に絞られます。

続いて、ウの「水俣病」は1950年代に問題となった公害病で、原因物質は有機水銀です。少しこの問題から脱線しますが、高度経済成長期(1950年代~1970年代)に掛けて、四大公害病が問題になりました。この水俣病(有機水銀)に加え、第二水俣病(有機水銀)、四日市ぜんそく(亜硫酸ガス)、イタイイタイ病(カドミウム)の4つです。

立て続けに起こったこれらの公害を契機に、日本では公害に注目が集まり、様々な化学物質が問題視されるとともに、それらの対応策が取られるようになりました。よって、明治時代の足尾銅山鉱毒被害からは間が空くものの、その間に大きな公害被害がないことから、イ→ウとつながる選択肢(3)が正解であると判断できます。

また、オの「ダイオキシン類による環境汚染」は、ダイオキシン類対策特別措置法が平成11年(1999年)に制定されたことからもわかる通り(これは重要知識です)、比較的新しい公害です。選択肢(3)はオが最後に来ているので、比較的最近の出来事という話と矛盾がないことが確認できます。

以上が最重要の3つなので、これを押さえておけば問題なく得点できます。ただし、残りの2つも決してマイナーな話ではないので、余裕があれば押さえておいてください。

アの「PCBによる環境汚染」は1968年に起きたカネミ油症事件が有名です。

エの「トリクロロエチレンによる地下水汚染」について、これは決定的な大事件が起きたわけではありませんが、発がん性物質であることが判明したので対策が取られるようになりました。また、水に溶けにくい上に分解もされにくいので、地下水や土壌の汚染物質でもあります。強く問題視されるようになったのは、国内では1980年頃からです。

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