H30年 汚水処理特論 問19 問題と解説

汚水処理装置の維持管理に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 密閉状態に近い排水の貯留槽内に入る場合は、十分に換気を行い、酸欠や硫化水素中毒に注意し、必ず監視員を置き、酸素マスクを準備することが望ましい。
  2. 排水の滞留部分では嫌気性となり、硫化水素が発生してスラブや壁面の水滴に溶け込むと、硝化菌により酸化されて硝酸となり、コンクリートの腐食の原因となる。
  3. pH調整槽ではpH計と連動するポンプ等により中和剤を添加する。pH計は、定期的な標準液による校正と電極内部液の補給、電極の洗浄が必要である。
  4. 凝集処理装置では、最適な凝集条件を保持することが重要で、ジャーテストにより凝集剤の添加量並びにpH値を決定するのが確実である。
  5. ろ過装置で捕捉できる浮遊物質の総量は、被ろ過水の浮遊物質濃度には依存せずほぼ一定であるので、高濃度の原水をろ過すると短時間でろ層が閉塞し、頻繁な洗浄が必要となる。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

硝酸は多くの金属を溶かすことができますが、コンクリートを腐食させることはできません。コンクリートを腐食させるのは硫酸です。

よって、(2)の「硫化水素が~硝化菌により酸化されて硝酸となり」が誤りで、正しくは「硫化水素が~硫黄酸化細菌により酸化されて硫酸となり」となります。

とはいえ、コンクリートの腐食についても硫黄酸化細菌についても、これらはマイナーな知識だと感じます。そのため、この問題は消去法で解くほうが妥当かもしれません。

まず、(1)、(3)、(4)は重要知識というほどではありませんが、読んでみると順当なことが書いてあって矛盾点もないので、これらは正しい文章であると判断できます。

また、(5)については重要事項なのでぜひ押さえておきたい内容です。

ろ過装置が詰まるまでに捕捉できる浮遊物質の量が大体100と決まっていれば、きれいな水(浮遊物質の量が1日で1とする)を通水する場合だとろ過装置は100日間持ち、汚い水(浮遊物質の量が1日で10とする)を通水する場合だとろ過装置は10日間しか持ちません。

そのため、(5)に書かれているように、高濃度の原水をろ過すると短時間でろ層が閉塞し、頻繁な洗浄が必要となります。

以上のように(1)、(3)~(5)が正しいことを確認して、残る(2)が正解になると判断できればよいと思います。

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