H30年 大規模水質特論 問7 問題と解説

製鉄所における表面処理工程及びその排水処理に関する記述として、不適切なものはどれか。

  1. 電解脱脂工程の水洗排水には、界面活性剤に起因するCODが含まれる。
  2. クロメート排水に含まれる有毒物質の六価クロムは、そのままでは沈降処理が困難である。
  3. クロメート排水の還元剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム又は消石灰が使用される。
  4. ゲル状の微細粒子の形状となっている重金属水酸化物には、高分子凝集剤を添加して、沈降しやすい粗大フロックを形成させる。
  5. クロメート処理は、亜鉛めっき後の白錆防止のために亜鉛表面に化成被膜を生成させる目的で行うものである。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

「クロメート」は「クロム酸」という意味なので、これは金属の表面にクロム酸を吹きつけて皮膜を作ることを指す言葉です。

表面処理工程のクロメート排水に含まれる6価のクロム酸は、亜硫酸ナトリウムなどで3価に還元してから処理されます。これは、6価のクロムが強い毒性をもつ上に、沈殿処理が難しいためです。一方で、3価のクロムは比較的安全であり、かつ、沈殿処理が可能です。

よって、(2)と(5)の記述は正しいのですが、(3)の還元剤の具体例が間違っています。水酸化ナトリウムや水酸化マグネシウム、消石灰はどれもただの塩基で、還元剤ではありません(クロメート排水の話に限らず、そもそも還元性を有していません)。そのため、もし正しい還元剤がわからなくても、この選択肢が不適であることは判断できます。

クロメート排水の還元剤としてよく使われるのは、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸鉄(Ⅱ)などが挙げられます。

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