下図に示す排煙脱硫プロセスのうち、(ア)~(エ)に該当する語句の組合せとして、正しいものはどれか。
(ア) (イ) (ウ) (エ)
- 冷却除じん塔 吸収塔 酸化塔 石こう
- 吸収塔 酸化塔 冷却除じん塔 石こう
- 酸化塔 吸収塔 冷却除じん塔 石こう
- 吸収塔 酸化塔 冷却除じん塔 硫安
- 冷却除じん塔 吸収塔 酸化塔 硫安
解 説
図の左下のあたりで石灰石と水酸化カルシウムを入れているため、これは排煙脱硫プロセスの中でも最も主要な「石灰スラリー吸収法」を表す図です。
石灰スラリー吸収法は、排ガス中に含まれる硫黄分(SO2)を最終的に石こう(CaSO4・2H2O)に変えて取り出す脱硫方法です。具体的には、次のような順序によって排ガス中の硫黄分を取り除きます。
まず、図の左上の「排ガス」が「ガス-ガスヒーター」を通り、(ア)の「冷却除じん塔」へと進みます。ここで水のシャワーによって排ガスを冷やすとともに、ダストなどをある程度洗い流します。ちなみに、排ガスを冷やすのは、後段の吸収塔で硫黄分が吸収しやすくなるよう、前段のここでガス温度を下げるためです。
「冷却除じん塔」を出た排ガスは、(イ)の「吸収塔」へと進みます。図の左下に水と石灰石、水酸化カルシウムを混ぜる「吸収剤調整槽」があり、この吸収剤を(イ)に送っているため、(イ)が「吸収塔」なのはわかりやすいと思います。ここでは、排ガス中に含まれる硫黄分と吸収剤に含まれる石灰石とが、次のような化学反応を起こします。
ちなみに、ここでのpHは大体6くらいですが、このあと図にある通り、pH調整槽で硫酸によって酸性側(pH4程度)に変えられます。これは続く酸化塔での反応を起こしやすくするための措置です。
吸収塔で生成した亜硫酸カルシウムは、(ウ)の「酸化塔」で空気中の酸素によって酸化され、最終生成物である石こう(CaSO4・2H2O)に変わります。図においては、(ウ)の真下から空気が注入されているのが酸化塔であるヒントになっています。亜硫酸カルシウムの酸化反応を化学反応式で表すと、次のようになります。
そして、脱硫プロセスの末に生成した「石こう」が(エ)に当たります。
以上から、選択肢(1)が正しいということになります。
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