H29年 大気特論 問4 問題と解説

炭素85%、水素15%の組成の軽油とプロパンを混焼する装置がある。軽油を10kg/h、プロパンを50m3N/hの流量で供給し、空気比1.2で完全燃焼させたとき、湿り燃焼排ガスの流量(m3N/h)はおよそいくらか。

  1. 1375
  2. 1450
  3. 1525
  4. 1600
  5. 1675

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

問題文では、軽油もプロパンも湿り燃焼排ガスも全て単位に[/h]が含まれているので、以下の解説では、最初から1時間あたりの量として計算を進めます。また、軽油とプロパンのうち、プロパンのほうが考えやすいので、こちらから先に解説します。

プロパンの燃焼の化学反応式と、反応前後に存在するそれぞれの流量は、次のようになります。

また、空気中の窒素は反応に関与しないので、最初からある分が反応後にもそのまま残っています。空気中の成分は酸素が21%、窒素が79%であるので、上式とこの比から窒素の量は次のように計算されます。

以上から、プロパンを空気比1.2で完全燃焼させたときに発生する湿り燃焼排ガスの流量の合計は、

となります。

続いて、軽油についても同じように考えます。ただし、プロパンは問われている湿り燃焼排ガスと同じ単位でしたが、軽油は[kg]で表されているため、最終的にはこれを[m3N]にしなければなりません。

問題文によると軽油は全部で10kgあり、そのうち炭素分が85%なので8.5kg、水素分が15%なので1.5kgです。炭素と水素の原子量はそれぞれ12、1なので、軽油の燃焼に伴う炭素・水素の化学反応式と、反応前後に存在するそれぞれの物質量[kmol]は、次のようになります。

  • 炭素分

  • 水素分

また、空気に含まれる窒素の量は、プロパンのときと同様に計算すると次のようになります。

以上から、軽油を空気比1.2で完全燃焼させたときに発生する湿り燃焼排ガスの物質量の合計は、

となり、また、理想気体においては1[kmol]分の物質量は体積に換算すると22.4[m3N]に相当するので、湿り燃焼排ガスの流量は、

と算出できます。

よって、求める答えは軽油とプロパンの湿り燃焼排ガスの流量の合計値なので、

となります。

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