H29年 水質概論 問7 問題と解説

水中の溶存酸素に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 酸素の蒸留水への溶解度は、1気圧、水温20℃で約8.8mg/Lである。
  2. 水温が低いほど、酸素の水への溶解度は高い。
  3. 水中に酸素が溶け込むルートは、水面を通して大気から溶解するものと、水中の動物プランクトンから供給されるものが主なものである。
  4. 閉鎖性水域の底層水の溶存酸素濃度は有機汚濁の指標となる。
  5. 閉鎖性水域の底層において、溶存酸素濃度が極めて低くなると、硫化水素やアンモニアなどの悪臭物質が発生し、また一部の重金属が溶出しやすくなる。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

(1)は正しいですが、あまり気にしなくていいと思います。

(2)も正しいです。一般的に、温度が低いほど気体の溶解度は高くなります。炭酸水を温めると炭酸(CO2)が抜けるのをイメージしてください。そのため、水温が低下すれば飽和溶損酸素濃度は高くなります。

(3)が誤りです。動物プランクトンは人間と同じく、呼吸で酸素を消費することはあっても、逆に酸素を生産することはできません。よって、(3)のように溶存酸素が水中の動物プランクトンから供給されることはありません。

植物プランクトンであれば、呼吸で酸素を消費する一方で光合成により酸素を生産することができるので、(3)の「動物プランクトン」を「植物プランクトン」にすれば、正しい文章となります。

(4)は正しいです。閉鎖性水域は外洋との水の交換が悪く、底層だと光が届かず植物プランクトンの光合成による酸素の供給も少ないです。そのため、有機汚濁による酸素消費が溶存酸素濃度の値に反映されやすいので、指標となります。

(5)も正しいです。貧酸素水塊が形成され、さらに酸素が枯渇すると、嫌気的な硫酸還元によって硫化水素やアンモニアが発生します。

以上から、正解は(3)となります。

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