H29年 水質概論 問3 問題と解説

水質汚濁防止法に規定する有害物質貯蔵指定施設に関する記述中、下線を付した箇所のうち、誤っているものはどれか。

有害物質貯蔵指定施設のうち地下に設置されているもの(以下「地下貯蔵施設」という。)は、有害物質を含む水の(1)漏えい等を防止するため、次の各号のいずれかに適合するものであることとする。

一 次のいずれにも適合すること。

イ (2)タンク室内に設置されていること、(3)二重殻構造であることその他の有害物質を含む水の(1)漏えい等を防止する措置を講じた構造及び材質であること。

ロ 地下貯蔵施設の外面には、(4)腐食を防止するための措置が講じられていること。ただし、地下貯蔵施設が設置される条件の下で(4)腐食するおそれのないものである場合にあっては、この限りでない。

ハ 地下貯蔵施設の内部の有害物質を含む水の(5)濃度を表示する装置を設置することその他の有害物質を含む水の(5)濃度を確認できる措置が講じられていること。

二 (略)

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

結論を先に示しておくと、(5)の「濃度」が誤りで、正しくは「量」となります。

この問題は条文の穴埋めという形にはなっていますが、決して条文を暗記していないと解けない問題ではありません。というより、ややマイナーな条文からの出題なので、原典の文言を覚えている人のほうが少ないと思います。

重要法律の第1条や第2条、その他の頻出条項は別として、今回のようにあまり目にしない条文からの出題では、選択肢を含む文章を注意深く読めば、基本的な知識さえあれば答えが選べるようになっています。

そのような観点で下線部を含む文章を読んでいくと、(1)~(4)までは特に矛盾なく読めると思います。(2)や(3)が正しいかどうか判断しかねるかもしれませんが、明確に間違っていない限り、とりあえず流しておいて構いません。

一方、(5)の箇所にある「水の濃度」は明らかにおかしいです。これが「水に含まれる有害物質の濃度」ならまだわかりますが、「有害物質を含む水の濃度」という表現になっています。水には濃度も何もないので、この箇所がNGであり、(5)が正解であるとわかります。

また、この問題は、有害物質を含む水の漏えいを防止するための措置について書かれていて、「ハ」の文章は、漏えいした際にいち早く気づけるようにするための措置となります。

しかし、地下貯蔵施設から漏えいがあった場合、有害物質を含む水の量は減りますが、その濃度が変わるわけではありません。

よって、上記で「水に含まれる有害物質の濃度」なら文章としては成り立つ旨を説明しましたが、もしそうなっていたとしても、濃度管理では漏えいに気づくことはできないので、これでは漏えい対策とはなりません。量で管理すれば、漏えいに気づくことができます。

以上から、(5)の「濃度」が誤りで、正しくは「量」に直す必要があります。

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