H29年 大規模水質特論 問1 問題と解説

海域における溶存酸素に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 溶存酸素は植物プランクトンの呼吸により消費される。
  2. 閉鎖性海域では夏季に海水の上下混合が活発になり、貧酸素水塊が形成されやすくなる。
  3. 飽和酸素量は水温と塩分から計算で求めることができる。
  4. 溶存酸素はアンモニア体窒素の硝化により消費される。
  5. 表層海洋では大気との交換によって溶存酸素濃度の増加・減少が起こりうる。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

(2)の文章はほとんど合っているのですが、「上下混合が活発」の部分が誤りで、むしろ上下混合は少ないといえます。

閉鎖性水域の表層には、工場排水などから栄養塩類などが潤沢に供給され、また、日光も表層には届くため充分な光合成を行うことができます。このようなことから、表層のほうは溶存酸素が充分に存在することになります。

話は変わりますが、温かい水は上へ、冷たい水は下にいくという性質があります(空気も一緒で、暖気は上へ、寒気は下へ移動します)。よって、夏の日差しによって表層の水温は温かくなるので、表層の水は水面近くにとどまり、水の冷たい下層との混合が起こりにくくなっています。

これが、(2)の「上下混合が活発」が間違っている理由です。そのため、閉鎖性水域の下層では上層から溶存酸素が供給されにくくなっているので、貧酸素水塊が形成されやすくなります。

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