H28年 大気有害物質特論 問10 問題と解説

JISによる排ガス中のカドミウム及び鉛分析方法に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. カドミウム標準液は、純度99.9%以上の金属カドミウムを硝酸に溶かして調製する。
  2. フレーム原子吸光分析法によるカドミウムの分析では、共存する塩化ナトリウムの干渉がある。
  3. 電気加熱原子吸光分析法では、内標準物質として硝酸パラジウム(Ⅱ)を用いる。
  4. フレーム原子吸光分析法と電気加熱原子吸光分析法による鉛の分析では、同じ測定波長を用いる。
  5. ICP質量分析法は、フレーム原子吸光分析法よりも低濃度のカドミウム及び鉛を定量できる。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

重要知識として、マトリックスモディファイヤーを使うのは電気加熱原子吸光法で、内標準物質を使うのはICP質量分析法と覚えておいてください。

よって、(3)の「内標準物質」が誤りで、正しくは「マトリックスモディファイヤー」となります。ちなみに、「硝酸パラジウム(Ⅱ)」という部分は合っています。

測定で得られた強度と定量したい濃度との関係を知るために使われるのは、主に検量線法、標準添加法、内標準法の3つです。

検量線法は、標準液を使って既知の濃度での測定を何パターンか(普通は3点以上)で行い、検量線を引く方法です。その後、未知試料の分析によって得られた強度と検量線とから、未知試料に含まれる濃度を見積もることができます。

標準添加法は、未知試料を何本も用意し、そこに測定対象とする元素などの標準液を、それぞれ濃度を変えて加えていきます。そうしてできた各試料を分析することで得られる検量線から未知濃度を定量することができます。これは電気加熱原子吸光法のときに用いる方法なので、マトリックスモディファイヤーとセットで覚えておきたいです。

内標準法は、標準添加法と同じく未知試料に直接標準液を入れますが、入れる元素が測定対象以外の元素です。測定対象以外の元素だからといって未知試料に少しでも含まれている元素を標準液として使ってしまうと正確な検量線が引けなくなってしまうので、普通はイットリウムのような珍しい元素を内標準物質にします。これはICP質量分析法のときに用いる方法なので、内標準物質とセットで覚えておきたいです。

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