H28年 公害総論 問2 問題と解説

環境基本法に規定する環境基準に関する記述中、(ア)~(オ)の中に挿入すべき語句(a~f)の組合せとして、正しいものはどれか。

( ア )は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係る環境上の( イ )について、それぞれ、人の健康を( ウ )し、及び生活環境を( エ )する上で維持されることが望ましい( オ )を定めるものとする。

  1. 環境大臣
  2. 基準
  3. 政府
  4. 条件
  5. 保護
  6. 保全

 (ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)

  1. a b f e d
  2. a b e f d
  3. c b f e d
  4. c d e f b
  5. c d f e b

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

問題文に該当するのは、「環境基本法」第16条(環境基準)です。この条文はH27年やH25年、H23年と度々出題されているので、ぜひ押さえておくことをお勧めします。条文は以下の通りとなります(問題文には1項しか載っていませんが、2~4項も併せて確認してください)。

  1. 政府は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係る環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準を定めるものとする。
  2. 前項の基準が、二以上の類型を設け、かつ、それぞれの類型を当てはめる地域又は水域を指定すべきものとして定められる場合には、その地域又は水域の指定に関する事務は、次の各号に掲げる地域又は水域の区分に応じ、当該各号に定める者が行うものとする。
    一 二以上の都道府県の区域にわたる地域又は水域であって政令で定めるもの 政府
    二 前号に掲げる地域又は水域以外の地域又は水域 次のイ又はロに掲げる地域又は水域の区分に応じ、当該イ又はロに定める者
    イ 騒音に係る基準(航空機の騒音に係る基準及び新幹線鉄道の列車の騒音に係る基準を除く。)の類型を当てはめる地域であって市に属するもの その地域が属する市の長
    ロ イに掲げる地域以外の地域又は水域 その地域又は水域が属する都道府県の知事
  3. 第1項の基準については、常に適切な科学的判断が加えられ、必要な改定がなされなければならない。
  4. 政府は、この章に定める施策であって公害の防止に関係するもの(以下「公害の防止に関する施策」という。)を総合的かつ有効適切に講ずることにより、第1項の基準が確保されるように努めなければならない。

この条文は頭に入れておきたいですが、もし覚えていないor忘れてしまった場合でも、選択肢から推測することは可能です。

まず、(ア)は環境大臣に環境基準を定める権限はないのですが、これは知らなければわからないので飛ばします。

(イ)と(オ)は一方に「基準」、他方に「条件」が入りますが、問題文の文章に当てはめると

  • 環境上の基準について、望ましい条件を定める
  • 環境上の条件について、望ましい基準を定める

のいずれかになりますが、問題文の最初にも「環境基本法に規定する環境基準に関する~」とある通り、この条項は環境基準を設定することについて記載しているので、定めるのは「条件」ではなく「基準」です。よって、(イ)がd、(オ)がbとなります。

(ウ)と(エ)は一方に「保護」、他方に「保全」が入ります。環境を保護、環境を保全…これはどちらも正しいような気がして悩ましいですが、健康を保護、健康を保全…ここで「健康を保全」という言葉に違和感を覚えられたら、答えは決まります。つまり、(ウ)にはe、(エ)にはfが入ります。

ここでは言葉の印象で決めることができましたが、条文の問題では、たとえ意味の通る言葉が選択肢にあったとしても条文通りの文言を選ぶ必要があるので注意してください(要するに、頻出条文は覚えておくべきだと思います)。

ちなみに、この前後の問題(問1問3)の問題文にそれぞれ「環境の保全」、「健康の保護」という言葉が使われているので、そこから類推することも可能です。この試験では、このように同年度の同科目において別の問題にヒントが隠れていることが結構よくあります。

以上より(イ)~(オ)がわかれば、選択肢(4)を答えにすることができます。

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