H28年 大規模水質特論 問1 問題と解説

閉鎖性水域の富栄養化に関する記述中、(ア)~(ウ)の中に挿入すべき語句の組合せとして、正しいものはどれか。

閉鎖性水域では外洋との水の交換が悪いことから、流域から流入してきた汚染物質は長期間滞留してしまう。特に夏季の成層期にはその影響が顕著に現れてくる。表層は( ア )には好ましい環境条件となり、いわゆるCOD内部生産が活発に行われる。一方、下層では成層の強化によって( イ )の供給が制限され、( ウ )が形成される。

   (ア)         (イ)    (ウ)

  1. 植物プランクトン生産 懸濁物質  高濁度層
  2. 植物プランクトン生産 硫化水素  貧酸素水塊
  3. 植物プランクトン生産 溶存酸素  貧酸素水塊
  4. 有機物分解      懸濁物質  貧酸素水塊
  5. 有機物分解      溶存酸素  高濁度層

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

閉鎖性水域の表層には、工場排水などから栄養塩類などが潤沢に供給され、また、日光も表層には届くため充分な光合成を行うことができるので、植物プランクトン生産には好条件となっています。

よって、(ア)には「植物プランクトン生産」が入ります。光合成は無機物(CO2)を有機物に変える働きをもつため、「有機物分解」では逆になってしまいます。

また、成層とは、表層と下層とを隔てる境界線の層のことです。これが強化されれば表層と下層は混ざりにくくなりますし、これが弱まれば海水は上下関係なくよく均質になります。ここでは成層が強化されたときの話をしているので、下層は表層とは反対で、栄養塩類も少なければ日光も届きにくいです。

よって、表層で植物が光合成して得られた酸素や、表層で空気中から取り込んだ酸素が下層に供給できなくなるので、(イ)には「溶存酸素」が入ります。

また、供給される溶存酸素が減れば下層は酸素不足となるので、(ウ)には「貧酸素水塊」が入ります。

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