H27年 水質概論 問4 問題と解説

特定工場における公害防止組織の整備に関する法律に規定する汚水等排出施設に該当しないものはどれか。

  1. 水銀電解法によるか性ソーダ又はか性カリの製造業の用に供する塩水精製施設
  2. コールタール製品製造業の用に供するベンゼン類硫酸洗浄施設
  3. 界面活性剤製造業の用に供する反応施設(1,4‒ジオキサンが発生するものに限り、洗浄装置を有しないものを除く。)
  4. 鉱業又は水洗炭業の用に供する選鉱施設
  5. 写真感光材料製造業の用に供する感光剤洗浄施設

 

 

 

 

 

正解 (4) +今は(1)も該当

 解 説    

この問題は規定された施設を覚えていれば解けるのですが、その数が多過ぎて覚えきれないと思います。そのため、汚水等排出施設になるような汚い(有害な)水が出るかどうかを考えていくほうが現実的な解き方です。

ちなみに、出題傾向の観点から見ると、「製造」と付くものは汚水等排出施設に該当する場合がかなり高いです。今回の問題でいえば(1)、(2)、(3)、(5)がそれに当たるので、これらは有害性を検討するまでもなく正解の選択肢から外しても構わないと思います。つまり、(4)しか残らないので、これだけで正解を選ぶことができます。

…とはいえ、毎回この判断だけで選択肢が1つに絞れるわけではないので、以下にもう少し具体的な観点からの解法について説明します。

(1)は電極に水銀を使っていて、汚水に水銀が含まれることになるため、これは汚水等排出施設に該当していました(2015年の試験当時)。

しかし、水銀電解法は古い(=環境に悪い)手法であり、現在ではこれを使った塩水精製施設は国内にありません。そのため、2017年に水質汚濁防止法施行令が改正され、(1)の施設は汚水等排出施設のリストから外れることになりました。

よって、現在では(1)を選んでも正解といえますが、本来の正解である(4)の施設とは意味合いが異なります。(1)の施設は有害性が低いから汚水等排出施設から外されたわけではなく、単に国内に存在しないから外れただけです。

(2)はベンゼン類が含まれているので、これは有害性が高く、汚水等排出施設に該当します。

(3)について、界面活性剤といえば洗剤や石けんが代表例として挙げられます。これらは有機物が多く含まれているので、界面活性剤を含む排水はBODやCODの濃度が高くなります。よって、これも汚水等排出施設に該当します。

(4)で、これは鉱石や石炭などを種類や大きさ、品質などによって選別する施設です。選別の過程で水を使った分別装置を用いることもありますが、ただの水(薬剤ではなく)を使って分離するだけなので、取り立てて気にするほどの有害な排水も出ません。よって、これは汚水等排出施設には当たりません。

(5)は感光剤が有機溶剤なので、(3)と同様にBODやCODの濃度が高くなり、汚水等排出施設となります。

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