H27年 公害総論 問13 問題と解説

化学物質に関する(ア)~(オ)の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

  1. 化学物質は生活に利便性を提供するが、扱い方を誤れば人の健康や生態系に悪影響を及ぼすものもある。
  2. 内閣府による「身近にある化学物質に関する世論調査(平成22年)」によると、化学物質という言葉の印象が「現在の生活になくてはならないもの」と答えた人の割合が25.5%であった。
  3. 上記の調査によると、「危ないもの」と答えた人の割合は69.7%であった。
  4. 化学物質が有する危険有害性(リスク)を評価して、人の健康や環境への影響(ハザード)を最小化する取組が、世界的に行われている。
  5. SAICMとは、国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチの略称である。
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

(ア)で、化学物質がこれだけ社会に浸透しているのは便利だからにほかなりませんが、時として化学物質の汚染や流出が原因で人の健康や生態系に悪影響を与えることもあります。例は数多くありますが、たとえばフロンは優秀な冷媒として多用されましたが、のちにオゾン層を破壊することが判明しました。よって、(ア)は正しい記述です。

(イ)と(ウ)について、事前にこの世論調査に関する資料を読んでいた受験者は少ないと思います。なので、ここはイメージで答えることになると思いますが、「無農薬」とか「人工着色料ゼロ」とかがセールスポイントになる時代なので、「化学物質」というのは一般的に良いイメージが持たれていないと考えるべきです。であれば、(ウ)の「化学物質→危ないもの」と答える人が70%くらい居るのは順当だと判断できます。

よって、(ウ)は正しい記述です。この際、70%じゃなくて80%くらいいるかも?…とか試験中に考える必要はありません。知っておくべき数字が問われているのではなく、判断力が問われているので、もしこれを誤りの文章にするなら、20%とか30%のように実際とは大きく違う数字を出してくるはずです。

同様に(イ)も、遠ざけたい人が多くいる化学物質を「現在の生活になくてはならないもの」と評価する人は少なそうなので、これも正しい記述です。

(エ)は日本語部分(カタカナ以外)だけ読むと正しいですが、「危険有害性=ハザード」、「人の健康や環境への影響=リスク」なので、「リスク」と「ハザード」が逆になっています。よって、これが誤りの記述です。

(オ)のSAICMは、Strategic Approach to International Chemicals Managementの略で、訳すと「国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ」となるため、これも正しいです。

以上より、(エ)のみが誤っているため、選択肢(1)が正解になります。

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