H26年 汚水処理特論 問17 問題と解説

窒素及びりんの同時除去で用いられる活性汚泥法のフローとして、正しいものはどれか。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

まず、図中の好気槽と嫌気槽は、酸素の有無によるものなので違いがわかりやすいですが、嫌気槽と無酸素槽とは何となく似ている印象を受けるため、この違いを押さえておく必要があります。簡単にまとめると以下の通りです。

  • 好気槽:酸素分子があって、好気性菌による処理が行われる槽
  • 無酸素槽:遊離の酸素分子はないけれど、脱窒など、嫌気性菌による酸素原子の関わる反応が行われる槽
  • 嫌気槽:酸素分子どころか結合酸素(硝酸など)もなく、偏性嫌気性菌による酸素原子の関わらない処理が行われる槽

無酸素槽の説明文にある「脱窒」とは、たとえば硝酸イオンを窒素分子に変えるような反応のことをいいます。これは嫌気性菌による反応ではあるものの、硝酸イオンというかたちで結合酸素が存在するため、この場所は嫌気槽ではなく無酸素槽ということになります。つまり、「無酸素槽→無酸素分子槽」と読み替えると良いと思います。

また、嫌気槽のところの「偏性嫌気性菌」は絶対嫌気性菌ともいわれ、一切の酸素がない状態でのみ活躍できる菌です。

ここまでを押さえておけば、正解にたどり着けます。上記の通り、嫌気槽には一切の酸素分子を入れたくないので、一番上流に嫌気槽を置くことになります(好気槽を先に置くと、その下流にも酸素分子が汚水と一緒に下流に運ばれてしまうためです)。

同様にして、無酸素槽も嫌気槽ほど厳密ではないものの酸素分子は存在しないほうが良いので、好気槽の上流になります。

以上より、順番としては、上流から嫌気槽、無酸素槽、好気槽となっている選択肢(1)、(3)、(5)のどれかが正解です。さらに、(3)と(5)は、好気槽を通ったあとの循環液が嫌気槽に戻されていますが、これだと酸素が混入するため、不適です。よって、残る選択肢(1)が正解です。

なお、このフロー図の意味合いとしては、「嫌気槽→好気槽」の並びで脱りん反応が行われ、「無酸素槽→好気槽」の並びで脱窒反応が行われます。

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