H26年 大規模水質特論 問3 問題と解説

生態系モデルに関する記述として、正しい記述はどれか。

  1. COD濃度は、植物プランクトンと動物プランクトン生物量の和で計算される。
  2. 植物プランクトンは溶存体有機物を排出しない。
  3. 水域内での栄養塩濃度は、水域外からの供給量と底泥からの溶出量の和で計算される。
  4. 動物プランクトンは、植物プランクトンばかりでなく、懸濁体有機物(デトリタス)も摂食する。
  5. 懸濁体有機物(デトリタス)濃度は、動物プランクトンの排ふんや死亡だけを考慮して計算される。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

(1)のCOD濃度は、生態系構成要素の中の有機物濃度から換算によって求めることができます。

(2)について、植物プランクトンの細胞外分泌により溶存体有機物が排出されます。

(3)で、水域内での栄養塩濃度は、「水域外からの供給量」と「底泥からの溶出量」と「外洋からの供給量」の和です。水域外からの供給量というのが河川などから流れてくる分であり、生産活動に由来するものが多いのに対し、外洋からの供給量というのは、湾口を通して外洋から流れ込んでくる分で、自然に由来するものが多いと考えられます。

そのため、外洋からの供給量については、バックグラウンドの水質として見積もられることがあります。つまり、全栄養塩類濃度から外洋からの供給量を引いたものが、人間の活動によって対象水域に流れ込んだ分ということです。

(4)は記述の通りで、動物プランクトンは懸濁体有機物(デトリタス)も摂食します。

(5)で、懸濁体有機物(デトリタス)は動物プランクトンの排ふん、死亡により生産されますが、植物プランクトンの枯死によっても生産されます。よって、その濃度はこの両方を考慮して計算しなければなりません。

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