H24年 大気特論 問10 問題と解説

サーマルNOx、フューエルNOxの両方に抑制効果が大きく、既設の燃焼装置に適用する場合、大幅な装置改造を要する低NOx燃焼法はどれか。

  1. 低空気比燃焼
  2. 排ガス再循環
  3. 二段燃焼
  4. 自己再循環形低NOxバーナー
  5. エマルション燃料の使用

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

(1)は空気量が減るのでフューエルNOxへの効果が期待できます。また、燃焼温度が下がるのでサーマルNOxもできにくくなるため、双方に抑制効果があるといえます。ただし、大幅な装置改造は必要ないので、誤りの選択肢となります。

(2)はサーマルNOxへの効果は大きいですが、フューエルNOxにはあまり有効ではありません。また、これは大幅な装置改造が必要です。

(3)が正解で、大幅な装置改造を要しますが、どちらのNOx対策にもなります。

(4)では燃焼ガスが循環するため、酸素濃度が低くなって燃えが悪くなるので、燃焼温度が下がります。燃焼温度が下がればサーマルNOxへの効果が期待できますが、フューエルNOxにはあまり有効ではありません。また、バーナーを取り替えるため、(2)や(3)ほどではありませんが、それなりに大掛かりな装置改造が必要です(この選択肢はフューエルNOx対策にならないことから正解ではないと判断できるので、装置改造の規模は判断しなくても大丈夫です)。

(5)について、エマルション燃料とは石油などの燃料と水とが混ざりあったような燃料のことです。本来は油と水は混ざりませんが、界面活性剤の存在により混合が可能となっています。燃焼の際に、この燃料に含まれる水分が蒸発しますが、このときの蒸発潜熱によって周囲の熱が奪われるので、結果として炎の温度が下がり、サーマルNOxの低減につながります。一方、フューエルNOxの低減には特に有効ではありません。また、これは燃料を変えるだけなので、大幅な装置改造は不要です。

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