金属の検定方法に関する記述中、(ア)及び(イ)に挿入すべき語句の組合せとして、正しいものはどれか。
銅、亜鉛、溶解性鉄、溶解性マンガン、クロムのうち、ICP質量分析法が規定されていないものは( ア )であり、吸光光度法が規定されているものは( イ )である。
(ア) (イ)
- 溶解性鉄 クロム
- 亜鉛 銅
- 溶解性鉄 亜鉛
- 溶解性マンガン クロム
- 溶解性マンガン 銅
正解 (1)
解 説
ICP質量分析法はその名の通り、質量で原子を区別しています。鉄イオンの質量数は56なのですが、これがアルゴン(40)と酸素(16)の合計と一致するため、アルゴン-酸素の多原子イオンが妨害物質となります(ICP質量分析法ではプラズマを発生させるのにアルゴンガスを使用します)。
よって、溶解性鉄はICP質量分析法では精確に測定できないので、規定されていません。ちなみに、ICP発光分光分析法では溶解性鉄が規定されています。こちらは質量をみるのではなく、波長をみるためです。
一方、吸光光度法で測定する金属といえばクロム(六価クロム)が有名です。クロムはICP質量分析法やICP発光分光分析法でも測定できますが、これらで測るのは全クロムです。クロムは3価よりも6価のほうが有害であり、六価クロムのみ排出基準値が定められたりしているため、六価クロムのみを測定できる吸光光度法(正確には、ジフェニルカルバジド吸光光度法)が重宝されます。
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