H24年 ばいじん・粉じん特論 問4 問題と解説

電気集じん装置での放電及び荷電に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 通常、負コロナの火花電圧は、正コロナの場合の約1/2である。
  2. 電気力線に沿って輸送されたイオンが粒子に付着する荷電を、電界荷電と呼ぶ。
  3. 電界荷電による粒子帯電量は、粒子径の2乗に比例する。
  4. 拡散荷電による粒子帯電量は、粒子径に比例する。
  5. 電界荷電による粒子帯電量は、電界強度に比例する。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

電気集じん装置の各パラメータの関係に関する出題は珍しいため、やや難易度の高い出題といえます。悪問・奇問というわけではないので、余裕があれば押さえておきたい知識ですが、ご自身の学習状況や理解度によっては後回しにしても構わないと思います。

(1)が誤りです。正コロナは電子放出が困難であり、低い電圧で火花放電に移行しやすいため、火花電圧が低くなります。具体的には、正コロナの火花電圧は負コロナの火花電圧の約1/2となっています。よって、(1)の記述は正負が反対です。

(2)は正しいです。電気力線に沿って輸送されたイオンが粒子に付着する荷電を、電界荷電と呼びます。それに対して、イオンが熱拡散運動によって輸送されて粒子に付着する荷電を、拡散荷電と呼びます。

(3)も正しいです。粒子表面積が大きければそれだけ電荷を帯びるスペースができます。よって、これらが大きいと粒子帯電量も大きくなります。よって、粒子帯電量は粒子表面積に比例します。

(3)では「粒子帯電量は、粒子径の2乗に比例する」とありますが、粒子径の2乗というのが粒子表面積に相当するので(面積=半径×半径×π)、この表現も正しいです。

(4)も正しいです。ややマイナーな知識ですが、拡散荷電による粒子帯電量は、粒子径やガスの絶対温度に比例します。

(5)も正しいです。電界強度が強いということは電荷に働く力も大きくなるので、この場にある粒子帯電量も大きくなります。よって、粒子帯電量は電界強度に比例します。

以上から、正解は(1)となります。

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