H22年 水質有害物質特論 問12 問題と解説

クロム(Ⅵ)の検定に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 二クロム酸イオンは還元されやすいので、試料採取後、早く試験する。
  2. 試料を保存するときは、そのままの状態で0~10℃の暗所に保存する。
  3. 検定法には、ジフェニルカルバジド吸光光度法、フレーム原子吸光法、ICP発光分光分析法等を用いる。
  4. ジフェニルカルバジド吸光光度法では、エタノールによりクロム(Ⅵ)を還元した後、発色させたものを対照液に用いることにより、共存物の影響を避ける。
  5. 鉄共沈法を用いるICP発光分光分析法では、水酸化鉄(Ⅲ)によりクロム(Ⅵ)を共沈させて分離し、この沈殿を硝酸に溶かしてクロム(Ⅵ)濃度を定量する。

 

 

 

 

 

正解 (5) +今は(3)も該当

 解 説    

(5)に関して、水酸化鉄(Ⅲ)により共沈分離できるのは「クロム(Ⅵ)」ではなく、「クロム(Ⅲ)」です。また、沈殿物を分析するのではなく、ろ液を分析します。沈殿物に含まれるのがクロム(Ⅲ)で、ろ液に含まれるのがクロム(Ⅵ)です。

つまり、鉄共沈法を用いるICP発光分光分析法では、水酸化鉄(Ⅲ)によりクロム(Ⅲ)を共沈させて分離し、ろ過により沈殿物を除去したあとのろ液を硝酸に溶かして、クロム(Ⅵ)濃度を定量します。

また、(3)に関して、六価クロム化合物の検定方法として定められているのは、以下の5つです。

  • ジフェニルカルバジド吸光光度法
  • 電気加熱原子吸光法
  • ICP発光分光分析法
  • ICP質量分析法
  • ジフェニルカルバジド発色法による流れ分析法

(3)の記述はH22年の試験当時は正しい記述でしたが、現在はフレーム原子吸光法が認められていないため、これも誤りの選択肢となります。

よって、正解は(3)または(5)となります。

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