クロム(Ⅵ)の検定に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 二クロム酸イオンは還元されやすいので、試料採取後、早く試験する。
- 試料を保存するときは、そのままの状態で0~10℃の暗所に保存する。
- 検定法には、ジフェニルカルバジド吸光光度法、フレーム原子吸光法、ICP発光分光分析法等を用いる。
- ジフェニルカルバジド吸光光度法では、エタノールによりクロム(Ⅵ)を還元した後、発色させたものを対照液に用いることにより、共存物の影響を避ける。
- 鉄共沈法を用いるICP発光分光分析法では、水酸化鉄(Ⅲ)によりクロム(Ⅵ)を共沈させて分離し、この沈殿を硝酸に溶かしてクロム(Ⅵ)濃度を定量する。
正解 (5) +今は(3)も該当
解 説
(5)に関して、水酸化鉄(Ⅲ)により共沈分離できるのは「クロム(Ⅵ)」ではなく、「クロム(Ⅲ)」です。また、沈殿物を分析するのではなく、ろ液を分析します。沈殿物に含まれるのがクロム(Ⅲ)で、ろ液に含まれるのがクロム(Ⅵ)です。
つまり、鉄共沈法を用いるICP発光分光分析法では、水酸化鉄(Ⅲ)によりクロム(Ⅲ)を共沈させて分離し、ろ過により沈殿物を除去したあとのろ液を硝酸に溶かして、クロム(Ⅵ)濃度を定量します。
また、(3)に関して、六価クロム化合物の検定方法として定められているのは、以下の5つです。
- ジフェニルカルバジド吸光光度法
- 電気加熱原子吸光法
- ICP発光分光分析法
- ICP質量分析法
- ジフェニルカルバジド発色法による流れ分析法
(3)の記述はH22年の試験当時は正しい記述でしたが、現在はフレーム原子吸光法が認められていないため、これも誤りの選択肢となります。
よって、正解は(3)または(5)となります。
コメント