H22年 汚水処理特論 問21 問題と解説

吸光光度計で吸光度が1と測定された溶液に対して、測定対象物質の濃度、吸光セルの長さ、入射光強度のいずれかを変化させた場合、透過光強度の変化に関する記述として、正しいものはどれか。ただし、ランバート-ベールの法則が成立するものとする。

  1. 測定対象物質の濃度cを2倍にすると、透過光強度Itは1/2倍になる。
  2. 測定対象物質の濃度cを2倍にすると、透過光強度Itは2倍になる。
  3. 吸光セルの長さlを2倍にすると、透過光強度Itは1/2倍になる。
  4. 吸光セルの長さlを2倍にすると、透過光強度Itは1/10倍になる。
  5. 入射光強度I0を2倍にすると、透過光強度Itは1/10倍になる。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

ランバート-ベールの法則とは、光を物質に照射した際、物質による吸収の度合いを定式化したもので、以下の式で表されます。

εはモル吸光係数と呼ばれ、物質ごとに決まった値をとります。この式は頻出なので、式と各記号の意味をぜひ覚えておくことをお勧めします。

ちなみに、上式をlogをとった形に直すと次のようになります。この問題では、次式で考えるほうが解きやすいかもしれません。

この式と選択肢の記述を見比べていくと、(1)と(2)ではcを2倍にすると左辺が10-2εclになるので、10-2εcl=100-εclより、もとの1/10倍になります。よって、右辺も1/10倍にならなくてはいけないので、透過光強度Itは1/10倍になります。

(3)と(4)について、lを2倍にすると上のcを2倍にしたときと同じように左辺が100-εclとなります。よって、やはり右辺も1/10倍にならなくてはいけないので、透過光強度Itは1/10倍になります。

(5)で、I0を2倍にすると右辺の分母が2倍になるため、右辺の分子である透過光強度Itも2倍になります。

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