問 題
ダスト濃度測定における吸引速度に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 非等速吸引によるダスト濃度の測定誤差を推定する式として、デービスの式がある。
- ガスの粘度が大きいほど、非等速吸引時のダスト濃度の測定誤差は大きくなる。
- ダストの粒子径が大きいほど、非等速吸引時のダスト濃度の測定誤差は大きくなる。
- ダストの密度が大きいほど、非等速吸引時のダスト濃度の測定誤差は大きくなる。
- 吸引速度が排ガスの流速よりも小さいと、測定ダスト濃度は真の濃度よりも大きくなる。
正解 (2)
解 説
(2)に関して、ガスの粘度が大きいほど、非等速吸引時の測定誤差は小さくなります。
ガス中のダストには一定の慣性が働くため、排ガスの流速と吸引速度が異なる場合には、ダストがきちんと吸引されないことがあります。
もし排ガスがさらさらしていたら(=粘度が小さければ)、ガスはガス、ダストはダストと独立した挙動となり、ダストは慣性力によって本来以上の吸引をされたり、または吸引を逃れたりしてしまいます。
しかし、もし排ガスがどろどろだったら(=粘度が大きければ)、どろどろのガスがダストとくっつき合って、一緒に動くようになります。そうすると、ガスとダストが一緒に吸引されるので、真のダスト濃度に近い測定結果が得られることになります。
よって、(2)の記述は反対であるので、これが正解となります。
また、上記のように感覚的なアプローチではなく、しっかり理屈から判断したいという方は、以下の解説を参照してください。ただし、この試験の対策としては上記のような考え方をできれば十分だと、個人的には思っています。
選択肢(1)にある通り、非等速吸引によるダスト濃度の計測誤差は、デービスの式から求められます(あくまで推定式ですが)。デービスの式は以下の通りです。
- Cn:ダスト濃度(非等速吸引)
- C:ダスト濃度(等速吸引)
- v:測定点のガス流速
- vn:吸引ノズルのガス流速
- Stk:ストークス数
式中にある「Stk」とは、ストークス数のことで、これは以下の式から求められます。
- Stk:ストークス数
- dp:ダストの粒子径
- ρp:ダストの密度
- v:速度
- μ:ガスの粘度
- d:吸引ノズルの内径
これらを見ていくと選択肢(2)~(5)の中で唯一(2)だけが逆の記述であることがわかります。よって、数式から考えても(2)が誤りの記述であり、これが正解と判断できます。
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