問 題
燃焼酸化-赤外線式のTOC計を用いた測定に関する記述中、下線を付した箇所のうち、誤っているものはどれか。
1チャンネル方式は(1)自動計測にも使用される。試料に(2)アルカリを加えてpH10以上とし、これにパージガスを通気して(3)無機体炭素を除去する。この試料を燃焼し、生成した(4)二酸化炭素を(5)非分散型赤外線ガス分析計で測定する。
解 説
TOC(Total Organic Carbon)は全有機炭素のことなので、TOC計は、水中に含まれている有機体炭素を定量するものです。BODやCODも同じように水中の有機物の指標となりますが、TOC測定のほうがCODやBODの測定よりも短時間で結果が得られるという長所があります。
TOCの測定法として「燃焼酸化-赤外線式」が有名ですが、これには2チャンネル方式と1チャンネル方式があります。
これらは2つとも、水中に存在する有機物に含まれている炭素を燃焼により二酸化炭素まで酸化させ、これを非分散型赤外線ガス分析計で定量します。ただし、もちろん両者には違いもあります。
2チャンネル方式は、全炭素(TC)から全無機体炭素(TIC)を差し引くことで全有機炭素(TOC)を知るという方法です。TOCが低い試料は、誤差が大きくなる場合があります。
1チャンネル方式は、試料を酸性とし、これにパージガスを通気して無機体炭素を除去することで、直接TOCとして測定する方法です。揮発性有機化合物の一部は、無機体炭素除去過程で揮散するため、TOCとして測定されずに誤差となります。
また、もうひとつの大きな特徴として、1チャンネル方式は連続モニタリング用に使われています。つまり、実験室では2チャンネル方式が、現場の連続モニタリングでは1チャンネル方式が採用されています。
以上を踏まえて選択肢を見ると、(2)の「アルカリを加えてpH10以上」が誤りであることがわかります。正しくは「酸を加えてpH2以下」ですが、pH2以下とまでは知らなくても、アルカリじゃなくて酸を使うことを知っていれば正解できる設問になっています。
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