R2年 水質概論 問5 問題と解説

 問 題     

水質環境基準の達成状況の評価に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 湖沼における全窒素及び全りんについては、年間平均値により評価する。
  2. 人の健康の保護に関する環境基準は、全シアンを除き年間平均値により評価する。
  3. 全シアンについては、年間の最高値により評価する。
  4. CODについては、75%水質値により評価する。
  5. BODについては、年間平均値により評価する。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

環境基準の達成状況の評価方法に関する出題は珍しいので、個人的にはこの問題は捨て問題扱いにしてしまっても仕方ないと思います。ただし、各選択肢をしっかり読めばある程度は正解に近づけると思うので、参考までに以下の解説を確認してみてください。

(2)と(3)で、「人の健康の保護に関する環境基準」として定められている物質の多くは、慢性毒性が問題となる物質です(よほど高濃度の場合は急性毒性を有することもありますが、それは環境基準の趣旨からは離れて事件や事故の類になるので、ここでは一般的な話をします)。

よって、一時的に基準値を超えてしまっても人体に大きな悪影響を与えるわけではないので、基準値を達成しているかどうかは年間平均値により評価します。

ただし、シアンは急性毒性が大きな問題となっている物質なので、全シアンだけは最高値を評価の対象とします。

つまり、(2)も(3)も正しいです。

一方、(1)、(4)、(5)はいずれも「生活環境の保全に関する環境基準」の項目です。このうち、全窒素と全りんに関しては年間平均値で評価し、BODとCODは75%水質値で評価します。

よって、(1)と(4)は正しい記述ですが、(5)が誤りです。(5)は「75%水質値」とするのが正しいので、正解は(5)となります。

ちなみに、75%水質値とは、1年間の日間平均値を全て並べて、その値の小さいものから75%分の位置にあるデータ値のことです。この数値が基準値を満たしていれば、365日のうち75%以上の日が良好な水質を保っているという評価になります。

ただし、「75%水質値」はこの試験では滅多に出題されない用語なので、しっかり押さえておくほどの知識ではないと思います。

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