問 題
製油所と、そこからの排水に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 原油は常圧蒸留装置により、沸点の違いを利用してガス、ナフサ、灯油、軽油、重質軽油及び常圧残油に分けられる。
- 大気汚染対策として燃料の低硫黄化が求められ、水素化脱硫が行われている。
- 製油所からの排水に特徴的に含まれるものとして、油分、フェノール、硫化物などがある。
- 排水中の油分は、重力分離によるAPIオイルセパレーターで処理することで、要求される濃度である1~5ppmを容易に達成できる。
- 排水中のBOD、COD及びフェノールは、一般に好気生物を利用する活性汚泥法により処理することで除去する。
正解 (4)
解 説
重力分離というのは、要するに水よりも油のほうが軽いから、自然に任せていれば油分が浮いてきて除去できる…というものです。APIオイルセパレーターというのは重力分離装置のひとつですが、さすがにこれだけで1~5ppmという低濃度まで処理することはできません。
そこで、実際にはオイルセパレーターの後段に活性汚泥プロセスを用意して、フェノールなどを除去するとともに油分をほぼ完全に除去します。よって、(4)の「1~5ppmを容易に達成できる」が誤りで、そこまで低減させるのは無理です。
製油所からのプロセス排水の処理フローを以下に示しますので、参考までに確認してください。
順序としては、最初に「油水分離」を行います。文字通り、油分と水分を分けます(ここでは大雑把に分離します)。次に「排水ストリッパー」です。ここでは揮発成分を気体に変えて、除去します。成分でいうと窒素分(アンモニア)と硫黄分(硫化水素)がここで取り除かれます。
その後、「オイルセパレーター」によって油を分離します。オイルセパレーターで大体の油分を除去できますが、ある程度は残ってしまうので、その後段で「活性汚泥」を使います。これにより、油分はほぼ除去できます。それから「急速ろ過」と「活性炭処理」にて、SS分などを処理します。
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