R1年 大気特論 問14 問題と解説

 問 題     

JISによる排ガス中のNOx又はNO2を分析する方法のうち、試料ガスの採取に吸収瓶を使用するものはどれか。

  1. 亜鉛還元ナフチルエチレンジアミン吸光光度法
  2. ナフチルエチレンジアミン吸光光度法
  3. イオンクロマトグラフ法
  4. フェノールジスルホン酸吸光光度法
  5. ザルツマン吸光光度法

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

試料ガスの採取に吸収瓶を使用するかどうかという点は、かなりマイナーな知識であるように感じます。そのため、個人的にはこの問題は捨て問題扱いにしてしまっても構わないと思います。

一応、答えを示しておくと、(1)~(4)の試料採取は真空フラスコまたは注射筒を用いるのに対して、(5)のザルツマン吸光光度法だけは吸収瓶を使います。よって、正解は(5)です。


この問題は捨て問題でも構わないと書きましたが、選択肢にあるNOxまたはNO2の分析方法そのものは重要事項であり、ぜひ理解しておいてもらいたい内容なので、以下にまとめておきます。

ちなみに、選択肢(1)~(4)はいずれもNOxの分析方法としてJISで規定されていますが、(5)のザルツマン吸光光度法だけはNOxではなくNO2の分析方法となります。

(1)の亜鉛還元ナフチルエチレンジアミン吸光光度法は、次のような操作手順です。

  1. 試料ガス中のNOxをオゾンで酸化し、吸収液に吸収させて硝酸イオンとする。
  2. 亜鉛により硝酸イオンを亜硝酸イオンに還元する。
  3. 発色試薬(スルファニルアミド+ナフチルエチレンジアミン)を加える。
  4. 波長545nm(赤紫色)の吸光度を測定する。

(2)のナフチルエチレンジアミン法は名前の通り(1)の手順と似ていますが、直接亜硝酸イオンにする点がポイントです。

  1. 試料ガス中のNOxをアルカリ性の吸収液に吸収させて亜硝酸イオンとする。
  2. 発色試薬(スルファニルアミド+ナフチルエチレンジアミン)を加える。
  3. 波長545nm(赤紫色)の吸光度を測定する。

(3)のイオンクロマトグラフ法はNOxの分析方法の中で唯一、発色させて吸光度を測る方法ではありません。

  1. 試料ガス中のNOxをオゾンか酸素で酸化し、吸収液に吸収させて硝酸イオンとする。
  2. イオンクロマトグラフにより測定する。

(4)のフェノールジスルホン酸吸光光度法はNOxの分析方法の中で唯一、硝酸イオンの吸光度を測定します。(1)、(2)、(5)は亜硝酸イオンを対象とした発色試薬ですが、これは硝酸イオンが対象なので発色試薬が異なり、黄色になります。

  1. 試料ガス中のNOxをオゾンか酸素で酸化し、吸収液に吸収させて硝酸イオンとする。
  2. 発色試薬(フェノールジスルホン酸)を加える。
  3. 波長400nm(黄色)の吸光度を測定する。

(5)のザルツマン吸光光度法は上記の通り、NOxの測定では使えず、NO2の分析方法となります。

  1. 試料ガス中のNO2を吸収発色液(スルファニル酸−ナフチルエチレンジアミン酢酸溶液)に通して発色させる。
  2. 波長545nm(赤紫色)の吸光度を測定する。

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