H30年 大気特論 問2 問題と解説

石炭に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 石炭化が進むと、真比重が増加する。
  2. 石炭化が進むと、揮発分が減少する。
  3. 石炭化が進むと、乾燥した石炭の着火温度は低下する。
  4. 石炭中の灰分は、シリカ、アルミナが主成分である。
  5. 製鉄用のコークス原料としては、強粘結炭が適している。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

石炭化とは、石炭中の揮発性成分が抜けていき、石炭中の炭素分の割合が高まる現象です。石炭化が進めば不純物のない純粋な炭素に近づくことになります。

よって、(1)と(2)は揮発性成分が抜けて密度が上がるので、これらはいずれも正しい記述です。

(3)について、石炭化が進んでいないものは揮発性成分が多く含まれているので、着火温度は低くなります。しかし、火が付きやすい一方で、すすが多く発生したり発熱量が少なめであったり、その燃焼状態はあまり良くありません。

反対に、石炭化が進んだ低揮発分の石炭は、着火温度は高いものの、すすが発生しにくく、発熱量が大きいという特徴があります。よって、(3)の記述が誤りです。

(4)と(5)については記述の通りです。特に(4)のほうは重要事項として押さえておいてください。

コメント

  1. ゆーじろー より:

    石炭化が進むと気体成分が減り個体成分が増えるので、引火点は高くなると思いますが、着火温度は下がるのではないでしょうか?着火点が引火点を意味しているのか、着火温度を意味しているのか理解ができていないので、教えてください。

    • 匿名 より:

      「引火」、「着火」は同義語ですので、「引火点」と「着火点」も同じものです。熱分解により発生した可燃ガスと空気の混合物に、着火源が作用して、燃焼が開始する現象をさします。したがって、石炭化が進むと着火しにくくなり、「着火温度」は高くなります。これに対し、「発火」は、着火源がなくとも自発的に燃焼が開始される現象です。

      また、管理者さんの説明、「石炭化が進んだ低揮発分の石炭は質が良い」ですが、あまり適切な説明ではありません。燃料としての石炭はその燃焼性から、ある程度の揮発分(燃料比が1程度)を含んだものが適しています。このため、低揮発分炭は燃料としては、逆に質が悪い場合が多いです。何をもって「良質な石炭」とするかは、使用する目的と手段に依存します。

    • (管理人) より:

      質が良いという文言を削除しました。ご指摘ありがとうございます。