R7年 大規模水質特論 問1 問題と解説

 問 題     

沿岸域のような浅海域における流動のモデル計算に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 海域を流れる塩水や淡水等の流体は、回転する粘性かつ圧縮性の流体として扱うことが、モデル式の基本的な考え方である。
  2. 海面での境界条件としては、風や日射量、湿度、気温等の気象条件を与える。
  3. 湾口部での境界条件は潮位の変化に代表される水位の変化などを与える。
  4. 海水の密度は塩分と水温から算出する。
  5. 重力の加速度やコリオリのパラメータを考慮している。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

問1からやや難易度の高い出題です。捨て問題とまでは言いませんが、大規模水質特論が苦手な受験者の方は、この問題は一旦後回しにしたほうがいいかもしれません。

沿岸の浅海域やエスチュアリーにおける流動のモデル計算では、その計算式がかなり複雑なものとなるため、式や各種のパラメータを暗記するのは現実的ではありません(興味がある方は調べてみてください)。

そこで、このモデル計算に関して過去に出題された記述を以下にまとめておきます。上に書かれているものほど出題頻度が高いので、上から順に覚えていくことをお勧めします。

  • 流体は回転する粘性、非圧縮性流体として扱っている。…選択肢(1)
  • モデルと観測結果の比較検証では、潮流楕円や水温、塩分等が使われる。
  • モデルに与える境界条件は、水位、密度、風速、日射量、湿度、気温、河川流量等がある。…選択肢(2)、(3)
  • 海域の密度場は、水温と塩分から計算される。…選択肢(4)
  • 重力加速度やコリオリのパラメータを考慮している。…選択肢(5)
  • 3次元的マルチレベルモデルでは、鉛直方向の速度成分は、水平方向の速度成分の結果から連続の方程式を用いて計算する。
  • 水柱を複数のレベルに分けて計算する3次元的マルチレベルモデルを用いる。
  • 3次元マルチレベルモデルでは、鉛直方向の運動については静水圧近似を用いている。

以上より、(1)の「圧縮性」が誤りで、正しくは「非圧縮性」となります。

よって、正解は(1)です。

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