R5年 水質有害物質特論 問5 問題と解説

 問 題     

ひ素排水の処理に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. ひ素を含む排水はいろいろな金属イオンを含有する場合が多く、pH調整するのみで共沈処理される場合が多い。
  2. ひ素(Ⅴ)の場合、鉄(Ⅲ)塩を使用した共沈処理における最適pHはアルカリ性側である。
  3. 共沈剤として鉄(Ⅲ)塩を用いた場合、3価のひ素(Ⅲ)よりも5価のひ素(Ⅴ)のほうが共沈処理は容易である。
  4. 鉄粉法やフェライト法によっても処理可能である。
  5. キレート樹脂の主な適用対象は、低濃度排水の処理、あるいは凝集沈殿処理水の高度処理などである。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

(1)は正しいです。ひ素を含む排水はいろいろな金属イオンを含有する場合が多いため、共沈剤を加えずにpH調整をするだけで共沈処理することができます。もちろん、必要に応じて共沈剤を用いることもできます。

(2)が誤りです。共沈剤として鉄(Ⅲ)塩を使用した場合、最適共沈pHは4~5となります。ただし、共沈剤の鉄(Ⅲ)塩を過剰に添加すると、最適共沈pHが3~7に拡大することも重要事項として押さえておいてください。いずれにせよ、(2)の「アルカリ性側」というのは間違いです。

(3)は正しいです。排水中のひ素の形態には、5価のひ酸イオン[AsO4]3-と3価の亜ひ酸イオン[AsO3]3-があります。これらを比較すると、ひ素(Ⅲ)(=亜ひ酸イオン)よりもひ素(Ⅴ)(=ひ酸イオン)のほうが共沈処理は容易です。

(4)も正しいです。ひ素の処理では、鉄(Ⅲ)塩を使用した共沈処理のほうがメジャーですが、鉄粉法やフェライト法を用いることもできます。

(5)も正しいです。キレート樹脂の主な適用対象は、低濃度排水の処理または凝集沈殿処理水の高度処理です。

なお、(3)にある鉄(Ⅲ)塩を用いた場合とは反対で、セリウム系キレート樹脂は、ひ素(Ⅴ)よりひ素(Ⅲ)のほうが吸着量が多くなります。このことは重要事項ではありませんが、たまに出題されることがあります。

以上から、正解は(2)となります。

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