問 題
低層大気の熱的な性質に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 温位は、気塊を断熱的に1000hPaの状態に移したときの温度変化幅で定義される。
- 断熱的に気塊の高度を変化させるとき、乾燥空気では100m上昇すると温度が0.98℃下がる。
- 高さ100mごとに温度が0.98℃下がる温度勾配(絶対値)を、乾燥断熱減率という。
- 高さ100mごとに温度が0.6℃下がる大気層は熱的に安定である。
- 高さ100mごとに温位が0.1℃下がる大気層は熱的に不安定である。
解 説
(1)が誤りです。温位の定義は「ある気塊を標準的な参照圧力(気圧1000hPa)へ断熱的に変化させたときの温度」です。よって、(1)の「温度変化幅」が誤りで、ここは「温度」とするのが正しいです。
(2)は正しいです。低層大気の乾燥断熱減率の絶対値は0.0098℃/mです。よって、記述の通り、乾燥空気では100m上昇すると温度が0.98℃下がります。試験対策としては、山登りとかを想像しながら「高度が100m上がると気温が約1℃下がる」と覚えても構いません。
(3)も正しいです。(2)の解説と重なりますが、乾燥断熱減率は気温の鉛直勾配に関連する数値であり、低層大気の乾燥断熱減率の絶対値は0.0098℃/mです。つまり、高さ100mごとに温度が0.98℃下がるともいえます。
(4)も正しいです。乾燥断熱減率(高さ100mごとに温度が0.98℃下がる)を基準として、大気層の気温の減率が乾燥断熱減率よりも大きいとき、その大気層は熱的に不安定となります。反対に、乾燥断熱減率よりも小さいとき、その大気層は熱的に安定となります。
(4)では100mごとに0.6℃下がるので、乾燥断熱減率(0.98℃)より小さいため、大気層は熱的に安定となります。
(5)も正しいです。乾燥断熱減率を基準として、大気層の気温の減率が乾燥断熱減率より小さいときは温位が高く、気温の減率が乾燥断熱減率より大きいときは温位が低くなります。また、気温の減率が乾燥断熱減率に等しいときは、温位は高さによらず一定となります。
(5)の場合、「温位が0.1℃下がる」ことから、温位が低いなら気温の減率が乾燥断熱減率より大きいと判断できます。そして(4)の解説より、気温の減率が乾燥断熱減率より大きいなら、その大気層は熱的に不安定となります。
以上から、正解は(1)です。
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