R4年 汚水処理特論 問2 問題と解説

 問 題     

無機性の工場排水の処理法の選択に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

  1. 浮遊物質を含む場合は静置沈降試験を行い、数時間以内で目標水質が得られれば、普通沈殿法の採用を検討する。
  2. 浮遊物質を含む排水で、普通沈殿法で目標水質が得られない場合は、凝集沈殿処理を検討する。
  3. 浮遊物質を含む排水で、普通沈殿法や凝集沈殿法で目標水質が得られない場合は、活性汚泥処理を検討する。
  4. 浮遊物質を除去しても、有害物質が残留している場合は、pH調整、硫化物添加、酸化、還元などの化学的方法による不溶化や分解を検討する。
  5. 沈殿処理や化学的処理で目標水質が得られない場合は、吸着処理やイオン交換処理を検討する。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

(1)は正しいです。特別なことを何もせずに静置するだけで数時間以内に浮遊物質が沈むようなら、薬剤などを使わず、普通沈殿法で十分です。

(2)も正しいです。普通沈殿法で処理できないときは、凝集剤を使った凝集沈殿処理を用いるのが一般的です。

(3)が誤りです。活性汚泥処理は、有機性排水の代表的な処理方法の一つです。しかし、問題文の冒頭に「無機性の工場排水の処理法」とあるので、活性汚泥処理は効果的ではありません。

実際に普通沈殿法や凝集沈殿法で目標水質が得られない場合は、凝集剤の種類や濃度を変更してみたり、あるいは(4)や(5)の方法を試してみたりするのが現実的な方法です。

(4)は正しいです。浮遊物質を除去しても有害物質が残留しているというのは、有害物質が溶解性であるということです。そのため、pH調整、硫化物添加、酸化、還元などによって不溶化・分解させます。

(5)も正しいです。(1)、(2)、(4)の方法でダメなら、不溶化からの凝集沈殿などは諦めて、吸着やイオン交換を試してみるとうまく除去できることがあります。

以上から、正解は(3)となります。

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