R3年 大規模大気特論 問2 問題と解説

 問 題     

典型的な煙の形と地表面付近の気温勾配の関係を示す図において、(ア)~(ウ)の中に挿入すべき語句の組合せとして、正しいものはどれか。

  •  ア     イ     ウ
  1. 強不安定  錐形    中立
  2. 不安定   屋根形   強安定
  3. 強不安定  いぶし形  安定
  4. 強安定   屋根形   不安定
  5. 不安定   錐形    強安定

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

( ア )について、図のように煙が大きく上下するのは、空気が全層(上層も下層も)で不安定な証拠です。よって、( ア )には「不安定」が入ります。

パスキルの大気安定度では「強不安定状態」「並不安定状態」「弱不安定状態」があるので、選択肢の「強不安定状態」を入れたくなるかもしれませんが、強・並・弱を問わず、不安定状態ならループ形の煙となるので、( ア )には「不安定」を入れるのが適切です。

とはいえ、この段階では(4)の「強安定」を除外するだけでも構いません。( イ )と( ウ )で正しいものを選べれば正解できます。

( イ )について、図のように煙が上下に緩やかに広がると、円錐(すい)を横に倒したような形になります。よって、( イ )には「錐形」が入ります。

( ウ )について、図を見ると、煙が上にも下にも拡散せず、水平面にだけ広がっているため、上(または下)から見ると扇形のように見えます。これは、上層が強安定のため、煙が上側に行けず、下層も同じく強安定のため、煙が下側にも行けない状態です。よって、( ウ )には「強安定」が入ります。

以上から、( ア )には「不安定」、( イ )には「錐形」、( ウ )には「強安定」が入るので、正解は(5)となります。

参考までに、大気の成層状態と典型的な煙の形の関係を以下にまとめておきます。

  • ループ形:全層不安定のとき、煙が大きく上下に蛇行する。
  • 錐形:全層が中立or弱安定のとき、横方向と鉛直方向の拡散がほぼ同じ大きさとなり、煙は円錐形に広がる。
  • 扇形:全層強安定のとき、鉛直拡散は抑えられ、煙は水平な扇形に広がる。
  • 屋根形:上層不安定・下層安定のとき、煙は上層で広がり下層には広がらないため、屋根のような形になる。
  • いぶし形:上層安定・下層不安定のとき、煙は下層で広がり上層には広がらないため、燻(いぶ)したような形になる。

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